ぼくたちと駐在さんの700日戦争

 

  
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7月2日より始めました独立版「ぼくちゅう」。
7月31日、めでたく10,000アクセスを迎えることができました。

おありがとうございます。

このようなしょーもないお話におつきあいいただきましたこと、深く深く御礼申し上げる次第です。

現在4章終盤。もうすぐ大問題の5章に突入いたします。



ランキングも順調に伸ばしていただきまして、わずかひと月の間に3位まで上げていただきました。

先日、いままで1位だったかたがランキングからはずれられたので、なんと2位です。

もちろん、ここまできたら1位めざしてがんばります。

ぜひ皆々様のご協力、お願い申し上げます。

ということで

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第10話 夕陽の決闘(3)

駐在所に潜入したメンバーは僕を含めて3人。
1番背の高い村山くんと、1番背の低いジェミー、こと丹下くん。そして僕です。
プラス1人が外で見張り役をしました。

西条くんの駐在さんを引き止める腕にかかっていましたが、僕たちの役割は、最も危険で、そして最も時間がありません。

村山くんは、入ったと同時に、駐在所の額縁を下ろしにかかりました。
ご存知ないかも知れませんが、駐在所、というか交番という交番には、なぜか警視総監か誰かの教訓が書かれた額縁があります。
これを下ろす作業があったために、背の高い村山くんが必要でした。

僕とジェミーは机周りです。
ジェミーは、逆に一番小さいので、隠れる作業に非常に適しておりました。
いわゆる適材適所というやつです。

「ところで先輩」
小声でジェミー。

「これって犯罪になんないんですかね?」
ししは16とか言っていた割合にするどいところをついてきます。

「馬鹿だな。モノを盗めば泥棒だけど、僕たちは物を置いていくんだぞ?」
「それはそうですけど・・・」

「例えば、お前の部屋に突然使い古しのパンティがあったらどう思う?」

「ものすごっうれしいっす!」

「だろう?人に喜ばれることをやって犯罪なものか

「あ!そうか。それもそうですね!」

自分がされてうれしいことは人にもやってあげなさいって、小学校で教わらなかったか?」

「はいっ!教わりました!」

扱いやすいぞ。コイツ。



では、僕たち設置班の作業を順番に説明いたしましょう。
作業は大きく4つありましたが、重要なのは2つで、あとは「撒き」です。
「まき」とは、僕たちの専門用語で、バレるためにある悪戯のことを意味します。

僕たちが持って来たのは、使用済み加工パンティ5枚と、西条くんの『○Mファン』から切り取った「とんでもねーグラビア」2枚。

まず、駐在所の机にかかっているビニールカバーを開けてここに1枚「とんでもねーグラビア」をはさみます。
これもご存知ないかも知れませんが、交番の机は、調書などをボールペンで書いてもらうために、客(?)の座る机には、たいていソフトビニールのカバーがかかっています。
このカバーの下には、さらに緑色のウレタン材のような下敷きがあり、ここの間に書類などを挟む事ができます。
グラビアの上には、駐在所の適当な書類を適当に上げて隠しました。

次に村山くんの下ろした額縁を開け、やはり中に「さらにとんでもねーグラビア」1枚をはさみ、元にもどします。警視総監もこんなグラビアが上にのるとは思ってもみなかったでしょう。
今となってはどうでもいいことですが、時間のない中では、これが最も大変な作業でした。さすが警視総監!

次に使用済みパンティ。

うち2枚は、すでに「ハンカチと見分けがつかない」状態にアイロンがけされておりました。
これを、駐在さんの上着のポケットに入れます。

1枚はゴミ箱の中に。おもいっきり広げてかけておきます。

そして。これが最もかんじんなのですが、1枚を電話機にかけます。
これがまた見事に電話カバーになるんですよ。判りにくいので、詳細図面入れておきました。
受話器受けのところなんか、もう芸術品なんですから。



当時は、まだ駐在所の電話もダイヤル式の黒電話でした。
交番には、さらにもう1台の黒電話があるのが普通でしたが、これは内線用、つまり警察署同士のやりとりのものらしく、少し形状が異なり型式も古いものでした。

余談ながら、このパンティ電話カバー。これより10年近くも経った頃、学生仲間がパンティをひろった時もやはり同じようにカバーにしておりました。
教えもしないのに、男の考えることってあんまりかわらないものだなぁ、と、つくづく感心したものです。

ただし。僕たちのパンティ電話カバーは、趣味ではありませんのでちょっと違うところがありました。
それは、極めてはずしにくく加工してあったことです。

僕たちは、3人でこれだけの作業を駐在さんがもどるまでに終わらせる必要がありました。
それは極めて短時間なことですから、手際の良さが必要です。

「よし!使用済みパンティ!」
「はいっ」
「つぎ!エログラビア!」
「はいっ」


「先輩!」
「なんだ?」
「なんかブラックジャックみたいでカッコイイですね!」

ブラックジャックが「エログラビア」なんて言うか?

「うーん。ボクってピノコ?」

「ああ。次はバイオニックピノコにしてやるよ」

「え~?あっちょんぶりけ?」

まんざらでもなさそうでした。丹下くん。
ああいうのが癖になるって、本当なんですね。

あっという間に仕掛けを終えた僕たちが、コソコソと駐在所から抜け出し、西条くんに合図を送ると、外は目にしみるような夕陽。
そして、その夕陽を背に、足早にこちらに向かっている杏子先生たちの姿が見えました。

さぁ、決闘だ!


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駐在さんの西条くんに対する説教はまだ続いていました。
と言うか、西条くんが引き延ばしていたわけなのですが。

「お前、今日はママチャリと一緒じゃないんだな?」

「え?あそこにいますよ?」
と、駐在所を指差す西条くん。

ぎょっとしたように振り向く駐在さん。

入口に立たずむ僕。

駐在さんは道路の向かい側からあわてて走って来ました。
それを追いかけるように西条くん。
捕まっていた高校生が、おまわりさんを追いかけるってのもめずらしい話です。

にこやかに挨拶する僕に対し

「お前ら・・・・またなにかたくらんでるな?」

いい感してます。

「今日はお渡ししたいものがあって」

僕たちは駐在さんがなにも言っていないのに、勝手に駐在所へと入り、いつもの尋問机の前に、これも勝手に座りました。

しかたなく向かい側にまわる駐在さんに向かって、僕は買い物袋から、ひとつひとつ物を取り出しました。

「これ。いつもお世話になっているので、僕たちからのお礼です」

はじめにチョコレート。
次もチョコレート。
次にノート。
その次もノート。
そしてまた1冊ノート。
次がボールペン2本。
最後に三角定規。

「???」
駐在さんは机に並べられていくものを見ながらしばらくあっけにとられていました。

僕はこれらの品を奇麗に西条くんの座っている机側から横一列に並べました。

「これ。受け取ってください。気持ちですから」

しかし、疑心暗鬼にかかっている駐在さんは、これに手を出そうとしません。

そりゃそうです。チョコレートはともかく、誰が「三角定規」を謝礼に持って来るでしょう?
腕組みしたままの駐在さん。

が。ノートのとなりに、机カバー下の「とんでもねーグラビア」を発見!

「あ!きさまら!」

と、立ち上がってノートに手をのばそうとしたとき

「あ、あなたたち!」「西条くん!」「西条!」

グレート井上くんにつれられて、白井杏子先生と安西みすず先生大あわてで到着。
これ以上ない、というグッドタイミングでした。

「え?あ、あなたがたは?」
きょとんとする駐在さんの問いに対して、

「あ。私。この子たちの学校の・・・この子の担任の者です」

僕と西条くんは、先生が入って来ると同時に、椅子に座ってうつむき「反省のポーズ」に入りました。

先生は、うつむいて無言の僕たちと、机の上に一直線に並べられた食品と文房具を見て、勝手に事態を判断をされました。

「ああ・・・。西条・・・あなた、なんてことを!」

僕たちは無言のままでしたが、事態の急展開についていけない駐在さんは、

「え?あの・・・先生がどうして?」

これに対し白井先生と安西先生。深々と頭を下げ

「すみません。このたびは・・・なんと申してよいか・・・」

すっかりパニックな白井先生。
が、駐在さんはもっとパニックです。
なにが自分のまわりで起っているのか、まったくわかっていないようでした。無理もございません。
だって駐在さんにすれば、二人乗り注意しただけなんですから。

「なんとか言いなさい。西条!」

なにもしゃべらず反省し続ける僕たち。

「い、いえ。そんなんじゃないんですよ?」
と、駐在さん。
しかし、先生は事態に動転してしまって言葉が聴こえていないようでした。

「ああ・・・どうしましょう・・・」

「いえ。先生、あのですねぇ・・・」
と、言いかけたところで駐在さん、安西先生の目線から、僕たちの前にある「とんでもねーグラビア」を思い出し、急遽机のノートで隠そうとしました。

が、西条くん。両手を拳にしてノートの上に置くと、おもいっきり力を込めてノートが動かないように妨害しました。
はためからは「ああ僕はなんてことをしてしまったんだ」のポーズです。
駐在さんは、さりげないふりをしてノートに力を込めました。なんとかグラビアを隠そうと必死です。
そうはさせじと西条くん。
西条くんの拳も、駐在さんの指も小刻みに震えていて、ふたりとも思いっきり力を入れているのがわかります。
僕は、正直、この机上の静かな戦いが面白くて、笑いをこらえるのに必死でした。

駐在さんと西条くんが目立たない裏の戦いを繰り広げるさなか、
「ど、どこのお店なの?」
安西先生が言いました。

僕が
「となりの・・・・雑貨屋さん・・です・・・」
静かに、さも言いづらそうに答えます。
だってとなりの雑貨屋で買ったんですもん。他に答えようがありません。

駐在さんは、ノートに力を入れているので、気持ちが半分それてしまっていて、まだ事態についていけないようでした。

「いえ、あの先生、なにもそういうわけでは・・・」

これを勝手に「おまわりさんがかばおうとしている」と勘違いされた先生は、
「いえ。おまわりさん。悪いことをしたのは仕方ありません。問題は本人に認識させることなんです」

いいえ。先生。問題はみなさんが事態を認識されることです。

なんとか事態を収拾しようとする駐在さんが
「いえ、先生、落ち着いて・・・」と言いかけたと同時に、
今度は、先生を誘導したグレート井上くん。

「あ・・・あの、先生・・・僕・・・失礼したほうが・・・」

と、これもさも気まずそうに言いました。
グレート井上くんには、事態が変化しそうになったら、帰りを言い出すよう伝えてありました。
これは事態を落ち着かせないためです。

「あ?あ。そうね。そうね。井上くん、ありがと。後は先生にまかせて」

「じゃ・・・これで・・・・」

と、井上くん。
帰ろうとしたその足が偶然にもクズカゴにひっかかりまして、倒してしまいました。

「あ・・・」

「いいのよ。私がかたづけるから、先に帰りなさ・・」
と、そのゴミを片付けようとした安西先生の手が止まりました。

そうです。これには「使用済みパンティ」が広げて入れてありました。

「げ!?」

駐在さんが、実はたいへんな事態である、ということに気づいたのは、やっとこの時でした。


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第12話 We will LOCK you(1)

えー。『ウィ・ウイル・ロック・ユー』のLockが"R"ではないか?とご指摘しようとしましたQueenファンの皆様。
これで正しいのです。
なお、お持ちのかたは、途中から『We Will Rock You』をかけながら読みますと、たいへん臨場感にひたることができます。



クズカゴからこぼれ落ちたゴミ(使用済みパンティを含む)を、かたづけようとする安西先生。
でも、安西先生は、まだ26歳の独身女性。さすがに手が止まりましたが、それでも思い直したように、かたづけを再開したました。
横目でながめたこの様子は、当時、ビデオでもあったなら撮影しておきたいくらいでした。そのパンティの掴み方、いえ、つまみ方が絶妙でした。

「い、いや。先生、けっこうですから。ほほ、本官がやりますから」
大慌てでクズカゴにかけよろうとする駐在さん。

結果、西条くんとの机上の戦いは駐在さんが負けてしまいまして「とんでもねーグラビア」は白井先生もしっかり目にすることに。

駐在さんは、ようやく「これは謀(はかりごと)だ」と気づかれまして、他になにか仕掛けられていないか駐在所内を見回しました。

<ここから!Music Start!>


そして。
額縁にはさまれた「さらにとんでもねーグラビア」発見!!

「うあ”!」

人間、普通、声は息を吐きながら発するわけですが、本当に驚くと吸いながら発声しますね。
それはもはや「動物の奇声」に近いものがありました。

「さらにとんでもねーグラビア」について、少しだけわかりやすく説明いたしますと、これはもはや普通のエロ写真とかの域ではないわけでして、ヌードとかそういったものを超越した「超趣味の世界」
そうですねぇ。例えれば、10年愛し合った恋人同士がいたとして、その彼氏の部屋にこのグラビアを発見したなら90%の女性は別れを考えますね。僕が女ならなにも聞かずに別れます。たとえそれまでの2人にどんなに美しい思い出があったとしても。それほどのものでした。
問題なのは、それが当時高校2年生であった西条くんの所有物であった、ということなんですが。

「せ、先生がた。こ、これはこいつら、いや、この生徒さんがたの・・・」
と、事態を説明しようとする駐在さんの声をさえぎるように

 RiRiRiRiRiRiRiRiRi

電話のベルがなりました。
少しこもったようなベル音。

駐在さんは、やむをえず電話をとろうとしましたが、
すでにおわかりのとおり、電話には電話カバーがしてありました。



「ぅあああ」

さらに奇声を発する駐在さん。

たとえそれが他人の悪戯であれ、パンティ、それも使用済みのパンティをかぶった電話を女性に見せることはさすがにできません。なんてったってここは正義の交番。
大慌てで電話をかくすように覆いかぶさると、受話器を手にしました。
相当ヘンです。駐在さん。

「はは、はい。ちゅ、駐在所ですがあ」
声うわずってます。

「はいはい。え?」

「こ、高校!?」

実はこの電話は、僕たちの仲間である新キャラ「千葉くん」が「真向かいの公衆電話」から、かけてきたものです。
どこの学校、学年にも、先生の声色が得意なヤツがひとりくらいいたものですが、彼は、まさしくそのひとりでした。
千葉くんは、特に生徒指導の工藤先生の真似が非常にうまく、本人とほとんど区別がつきません。我々メンバーでさえ、何度もひっかかっていました。
あまりに似ているため、僕などは、本物の工藤先生の電話に「おまえ、いいかげんにしろよ!」と怒鳴ったことがあるほどです。

その「高校からの電話」に、再びパニックに陥る駐在さん。
電話中も必死にカバーをはずそうと試みているのが背中でわかります。

が。絶対はずれません。だって足といっしょに「ネジどめ」されてますから。
(当時の黒電話はゴム製の足が木ネジ止めされていました)。

「え?白井、先生、ですか?・・・ああ、こちらに・・・・は、はい。いらっしゃっておりますが・・・」

「あ。私にですか?」
と、不思議そうに白井先生。

駐在さんは、首だけ白井先生をむいてうなづきました。

「あー、は、はいはい。い、いま、かわります」

しかし。

かわります、とは言ったものの駐在さん。パンティカバー付きの電話を渡すわけにはいかないことに、はたと気づかれました。

しかたがないので、ボディは隠したまま、受話器だけを渡そうとしましたが、姿勢がめちゃくちゃ「ヘン」です。

黒電話というのは、カールコードがかなり短かかったので、距離がかせげません。

白井先生がやむをえず近寄って、ようやく受け取りました。カールコードはすでに直線コードになっていました。
あまりにひっぱったために、本体が、ガチャガチャとひっくりかえり、それをまた駐在さんが必死で立て直します。

が、努力も空しく

「あら。切れてるわ・・・」

しかし、白井先生も「すでに事態が学校に伝わっている」、と、これまた勝手に勘違いされまして、焦燥しきってしまいました。
顔を見合わせる白井先生と安西先生。

駐在さんは、自分が電話機をひっくり返したためと思い、
「え?き、切れてしまいました? す、すいませんね・・」

違います。実は、この電話は千葉くんがむこうで切ったのです。

「あの・・・おまわりさん、お電話お借りできないでしょうか?」

電話。お借りしたいそうです。駐在さん。


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第13話 We will LOCK you(2)


「あの・・・おまわりさん、お電話お借りできないでしょうか?」
焦りきった白井先生。

しかし駐在さん。そんなこと言われたってもちろん困ります。

「え?い、いや・・・この電話は・・・あの・・公務用なので・・・」
と、言いかけましたが、駐在所が非常事態に市民に電話を貸さない、というのもヘンな話なので
「ほ、本官がダイヤルします。な、何番でした?」

そう言いながらも駐在さん。すでにパンティを破ってしまおうとしていました。
が、ナイロンをなめてもらっては困ります。破れません。
だって、一番頑丈なやつに、さらに裏布強化してます。
僕たちが恐れていたのはハサミを持ち出される事だけでしたので、あらかじめ机周りのハサミ、カッター類は隠しておきました。

そこに再び電話が鳴りました。

 RiRiRiRiRiRiRiRiRi

「あのー、駐在さん」
ベルが鳴っている最中に僕。

「な、なんだ?」

「僕たち。もう帰りますね?」

「あ?」
と駐在さん。

「えぇ?」
と先生。

あいかわらずこちらに背をむけたまま電話をとった駐在さんは、
「は、はい、駐在所です あ、さ、先ほどは失礼しました」
またしても上ずった声で、学校(千葉くん)と必死に会話し始めました。

それを無視して
「先生、帰りましょう。電車、乗り遅れますよ」

「え?え?え?」
すでにおわかりの通り、女性はもともとこういう急展開には極端に弱いものです。

駐在さんはまだ学校(千葉くん)と、電話をしています。
「え?か、かわらなくてもいい? はい?」

僕たちが駐在所を出ようとしたとき
ようやく緊迫の電話を終えた駐在さん。

「ま、まてぇ!お、おまえたちぃっ!」

僕たちをひきとめようとしました。

先生たちも、
「あなたたち、どういうこと?」と、僕たちをにらみました。

まぁ。これも当然です。

ここで西条くん、

「ああ。そう言えばー」
と、1冊の本をカバンからとり出すと、三角定規の隣に並べました。

そうです。『女教師杏子××た課外授業』です。

「これ、こないだ駐在さんに届けてもらったんですけどー。俺のじゃないんでー」

「え”!あ、ああ・・・」
駐在さんは口ごもりました。
白井先生は目を白黒させています。
安西先生はタイトルを見るなり目をそらしました。

駐在さんも、さすがに「女教師杏子さんご本人」の前では説明がつきません。

「い、いや・・・・ごくろうさん・・・」
と、意味不明な返事をすると、すっかり黙ってしまいました。

「じゃぁ。駐在さん、そこのチョコ食べてくださいねー」

僕たちは、駐在さんも先生も無視して、意気揚々と駐在所を後にしたのでした。


その後、先生方は、駐在さんに会釈などしてから、小走りで僕たちに追いつきました。

「き、君たち!どういうことか説明しなさい!」

「うーん。説明してもいいですけどぉ。聞かない方がいいかも?」

そりゃそうです。パンティ、エログラビア、そして自分の名前の入ったエロ文庫。そして学校からの電話。これを教え子からどう聴こうというのでしょう?
先生はしばし無言になりました。

西条くん。
「白井先生、俺たち、人のものを盗んだりしませんよ?」

「そ、それは信じてたけど・・」

絶対ウソです。

くれなずむ町の光と影の中、はるか遠くなった駐在所から雄叫びのような声が聴こえていました。

     ちっくしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!


  4章-完結・・・・と言いたいところですが


ところで、駐在さんの上着ポケットに入れたパンティが使われていないのではないか?と思われたみなさん。
たいへんするどいですが、あれはハンカチと間違えて汗でもふいてくれたら面白いのになぁ、と、仕掛けたものでした。
が、この時、駐在さんはとうとう最後まで使いませんでした。ざんねんですが、悪戯には不発はつきものなんです。
まぁ、うまく事がはこんだとしても、間違えるかどうかあやしいものです。

<続き>

安西先生が言いました。
「もう、先生なにがなんだか・・・・。こんなに冷や汗かいたの初めて」

「あ。先生、これどうぞ」
と、美形の安西先生に憧れている西条くん。気を利かせてハンカチをさしだしました。

こいつ、ほんとに女ならなんでもいいんだなぁ、と感心すらしていましたが

受け取った安西先生、

「え?なに・・・・これ?・・・・・パ、パンティ?」

「あ・・・・しまった・・・まちがえた・・・」

って、てめーが間違えんのかよっ!?

そうです。
西条くん。作戦前に1枚盗んだパンツをポケットに入れていたのです。
やっぱりこいつが犯人でした。まぁ、わかっていましたが「人のものを盗んだりしない」が笑わせます。

しかし安西先生。ここで意外な事実を発見!

「あれ?この柄・・・・なんで?」

そうなんです。西条くんが盗んだやつは駐在所のクズカゴに入れたものとまったく同じ柄
こう言っちゃなんですが、シミのつきかたまでまったく同じ。同じ加工品ですから・・・。
さすが化学の先生。観察力、優れてます。
というか、自分がついさっきつまんでかたづけたんですから覚えてますよね。そりゃ。
僕はこの時「3枚980円」を2セット買ってしまったことを心底悔やみました。
こんなことなら豹柄使うんだった・・・・。

翌日土曜日、僕たちが呼び出しをくらい、こっぴどく怒られたことは言うまでもありません。

そしてその日のうちに、白井先生にひきつれられ、駐在所へと謝罪にむかうのでした・・・・。


   今度こそ4章-完結  ありがとうございました~


 そして映画化された5章へ!ここからようやく小説→

第12話 We will LOCK you(1)へ|4章を終えましてへ→
 5章『花火盗人』目次へ→
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4章-最終話へ5章へ



【4章を終えまして】(たいしたこと書いてません。気が向いたら読んでください)。

「ぼくちゅう」お読みいただきました、みなみなさま。ありがとうございました。
無事(か?)4章を書き終えまして、ランキングは1位にしていただけましたし、もう、なにも言うことナッシングです。

もうほんとダラダラダラダラダラダラとしたお話でございまして、章ごとはともかくとして、盛り上がりやらないものですから、けっこうお楽しみいただけているのか気になります。

実際のところは、4章のパンティ作戦みたいな長いものよりは、単発の悪戯のほうが圧倒的に多かったわけなんですね。
「それいけー!」「にげろー!」みたいなやつです。

たとえばみんなでシガレットガムをくわえて駐在所前に15人くらいが1列で座ってみたり、駐在所の地図を世界地図と入れ替えてみたり、生徒会立候補者のポスターを「指名手配」のとなりに貼ってみたり、駐在所内に20台くらいの自転車入れてみたり(笑)。
とにかくいろいろやりました。それはみなさんも学校なんかでやった悪戯と大差ありませんでした。

駐在さんが偉かったなぁと、いまでも思うのは、このほとんどを「自分が怒鳴る」だけで、学校にはまったく連絡しなかったことです。
大人げはない人でしたが、寛容なかたでもありました。
まぁ、連絡するほどの大事もあまりなかったのですが。

当時の田舎の交番は本当にオープンなところで、駐在さんが留守であろうといつも開きっぱなしでした。とは言え、なにをやってもいいという許可はないわけですけど(笑)。
4章でも、友人(西条くん)たちが、わざわざ駐在さんを外へと誘導しますが、そんな必要さえなく、仕掛けをすることはいくらでもできたのです。
この場合では、発見が早すぎるともともこもない話なので、わざわざそういう手段をとりましたが、そこにはやはり「スリルを味わいたい」という若者独自の感覚も多分にあったと思います。

僕たちは、すでに「学校での悪戯」、つまり、先生や女子などに仕掛けるしょうもない悪戯の数々には、すでに飽き飽きしていました。ほとんどを1年生の1学期までで卒業したと言っても過言ではありません。
しかしエネルギーは有り余っておりますので、これを「大人社会」に向けたわけです。

「大人社会」を相手にしてみると、これが実に面白い。
そこには、圧倒的な権力の差がありました。これに対抗しうるには、我々にもせいいっぱいの知恵が必要でした。
ひとつひとつの緻密(?)な作戦。この人は、こうするとこう動くはず、というものがひとつ予想通りになるたびに、うれしくておかしくてたまりませんでした。
駐在さんは、このターゲットとして申しぶんのないかたで、実は他にも駐在所はいくつかありましたが、ここ以外を目的としたことはほとんどありません。
たまに交代で他の駐在さんがここに来られる日がありましたが、その度にがっかりしたものでした。

つまりは、僕たちは、この駐在さんが大好きだったことにちがいはありません。


さて。大問題の5章突入です。

うまく書き表せればいいのですが、今までとはちょっと雰囲気が違います。

このようなブログではございますが、引き続き「ぼくちゅう」お楽しみいただければ幸いです。おつきあいくださいませ。


それでは『5章 花火盗人』。お楽しみください。

4章 最終話へ5章 第1話へ

『夕陽の決闘』目次へ『小さな太陽』目次へ

総合目次

駐在さん


ぼくたちと駐在さんの700日戦争

5章 花火盗人


【あらすじ】
駐在所に泊まりにきていた奥さんの妹「美奈子さん」にグレート井上くんが恋してしまったことが全てのきっかけとなります。
駐在さんの考えた「悪戯の罰則」の延長で、お祭り前の神社掃除をさせられていた僕たちは、ここで天体観測の場所探しをしていた美奈子さんと再会。
連夜、彼女の天体観測につきあう井上くんでしたが、祭りの夜に事件にまきこまれてしまいます。西条くんはこの報復のために工業のフダツキ茶木との決闘を決意。しかしこの闘いで大怪我を負って入院することに。
そこにいたのは、弟の看病に来ていた6歳の少女「ミカちゃん」。子供好きの西条くんは、ミカちゃんに「花火を打ち上げてやる」という約束をしてしまいますが・・・。
映画『ぼくちゅう』のクライマックスともなった初の「シリアスシーン」を含む本作の分岐的お話です。

bunko2.gif文庫2巻には、本章『花火盗人』のほか、書き下ろし『ポップコーン戦線』を収録。
こちらから。



▼目次
第1話 秘密兵器(1)
第2話 秘密兵器(2)
第3話 井上くんの恋(1)
第4話 井上くんの恋(2)
第5話 井上くんの恋(3)
第6話 御利益
第7話 ドラゴン大会(1)
第8話 ドラゴン大会(2)
第9話 夏まつりの夜(1)
第10話 夏まつりの夜(2)
第11話 夏まつりの夜(3)
第12話 夏まつりの夜(4)
第13話 サイジョーの約束(1)
第14話 サイジョーの約束(2)
第14話 サイジョーの約束(3)
第14話 サイジョーの約束(4)
第14話 サイジョーの約束(5)
第18話 解散宣言(1)
第19話 解散宣言(2)
第20話 解散宣言(3)
第21話 ジェミー再び(1)
第22話 ジェミー再び(2)
第23話 ジェミー再び(3)
第24話 花火盗人(1)
第25話 花火盗人(2)
第26話 花火盗人(3)
第27話 リョウくんの空(1)
第28話 リョウくんの空(2)
第29話 上がれ!オッパイ花火!
第30話 流星(1)
第31話 流星(2)
第31話 流星(3)
第32話 10Munites Lover(1)
第33話 はなびぬすびと

総合目次

ぼくちゅうCD3超豪華声優陣によるドラマCD第3弾は、本章『花火盗人』!映画版よりも原作を忠実に再現。ミカちゃんが可愛い!
こちらからどうぞ。

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