ぼくたちと駐在さんの700日戦争

田舎町で繰り広げられたしょーもない悪戯戦争です

  
←復習する?


その日、僕と西条くんは、本屋さんの事務室にいました。
あのいまわしい「万引き疑惑」のわずか数日後のことです。
僕たちの前には、本屋のご主人が憮然とした表情で座っていました。
僕たちは無言のまま、下を向いていました。

ご主人が不機嫌そうに言いました。
「すると、どうしても見せられないと言うんだね?」

「はい。絶対に」。
僕たちが本屋さんの事務所にいるのにはワケがあります。

本来は、本屋さんにとって「お得意様」であるはずの我々が、駐在さんの突飛な仕返しによって「容疑者」扱い。まぁ、お得意様と言っても、西条くんは「月刊○○ファン」ですけどね。なんで町内で買えるんでしょう?超エロ本。
しかし、いくらなんでも「次から出入りさせない」はひどすぎます。

僕と西条くんの結論は決まっていました。

もちろん「復讐あるのみ」。

僕たちは、国家権力そのものである駐在さんよりは、むしろこういう一般系への悪戯にたけておりました。それでも、今まで町内で(少ししか)悪さをしなかったのは、そこが「普段利用する」からに他なりません。
しかし「容疑者扱い」となりゃ話は別。絶対的に疑いをはらさなくてはなりません。
ついでに、やっぱり悪戯は、おもしろくなくてはなりません。

僕と西条くんは、決行の前日、数名の仲間を集めて工作にいそしみました。
なんの工作かと申しますと、袋。

2つのビニール製の袋(ちょうど旅行バックにチャックがついたみたいなヤツです)を準備し、わざわざそのチャック部分を壊しました。

「よーし。こんなもんでいいかな?」
「いいか。あまり開くようじゃダメだからな」。

この几帳面さ。なぜ他の方面にはそうしなかったのかと、ホントに今さら悔やまれます。


さて、僕たちがこの作戦を決行したのは、中間試験がすでに2日後に迫った日のことでした。

あの日とまったく同じように、書店をたずねた僕と西条くん。

「あ」。

本屋のご主人が、すぐに僕たちの来店に気づきました。つまりは「要注意人物」ということなのでしょう。
おもしろくはありませんでしたが、こうでなくては困ります。

それから僕たちは参考書などを選ぶふりをして、しばらく店内をうろつき、自分たちがマークされていることを確認しました。

ほどなく、マークのはずれる棚の裏側まで行って、西条くんに合図です。

「いくぞ・・・」。

西条くんは無言でうなづきました。

そこから出口に向かっていきなり猛烈なダッシュ!ダッシュ!ダッシュ!

「あ!」


当然ながらマークしていたご主人もダッシュです。

「こら!待て!」

普通、待てと言われて待つ犯人はいません。が、僕たちはちがいました。
自転車のところでまごまごしていると、すぐそこにご主人がおりました。
だって、このために自転車に2つも鍵かけたんですもん。

「おい。君たち!なにをそんなに急いでるんだ?」

「いえ。僕たち、次の列車に遅れるとたいへんなことになるんですよ」。

「悪いが、ちょっとこっちに来てくれるかな?」

ご主人が僕たちの手をつかみます。

「いえ。僕たち、これに乗り遅れるわけにはいかないんで・・・」
と言いかけますと、

「命にでもかかわるのか?」

「はい。命にかかわります」。

この答えにすっかり激怒したご主人は
「いいから!」と、すごむと、ぐいぐいと我々を書店の中へとひきこむのでした。

ちょうどアリジゴクが、アリを引きずり込むってとこでしょうか。


と、言うわけで僕たちはめでたく書店の事務所行き。

ご主人。
「その袋を見せてほしいんだがな」。

僕たちが胸にかかえた袋に目をやりました。

「いやです」。
と、うしろめたそうに拒む僕たち。

「見せなさい!」と、今度は命令口調。
「絶対いやです」と、さらに拒む僕たち。

「すると、どうしても見せられないと言うんだね?」

「はい。絶対に」。

ご主人は女性店員に
「しかたない、駐在さんに来てもらいなさい」。
と言いつけました。

待ってましたっ!

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    2章-第11話へ続く 実はアリ地獄に落ちているのはご主人なのでした〜♪

テーマ:笑える小説 - ジャンル:小説・文学

コメント

スタンプラリーでまたまた読みたくなり、読み返し中です。。。

この時はまだ“のっぽさん部隊”と命名されてないのですね。
2007/08/30(木) 10:36:56 | URL | まぁ〜 #1acmT.yw[ 編集]
▲---------
>まぁ〜さん

はい。まだですね。
というか、この時は5章で終わるつもりでおりましたから。
2007/08/30(木) 20:58:33 | URL | くろわっ #NB/JWtcg[ 編集]

まぁ〜さん に続いて、読み返し中です。

このあたりは書籍で読んで、続きは米欄ほとんどすっとばして最新話に行ってしまったので。

一度読んでこの後どうなるのか知ってるのに、何度でもドキドキわくわくします。

お得ですね〜。


2007/09/01(土) 22:56:10 | URL | りんごあめ #WFVto/b6[ 編集]

私はスタンプラリーが終わったときぐらいからもう一度見たくなりました。
にしてもここはおもろい!!!!!
2007/09/17(月) 15:53:37 | URL | スーさん #-[ 編集]
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