ぼくたちと駐在さんの700日戦争

田舎町で繰り広げられたしょーもない悪戯戦争です

  
←復習する?

もうとっくにおわかりかとは思いますが、にぶいかたのために一応説明いたしますと、僕たちは、わざわざ店のご主人につかまるために、さも万引きして逃げるかのようなそぶりをしたわけです。
案の定、僕たちのことをすっかり疑っていたご主人は、まんまと捕まえてくださいました。「まんまと捕まえてくださいました」という敬語もヘンですが。

僕たちのかかえた袋、うち「西条版」には、いらない古本と、それをカバーする「しょーもないもの」を入れていて、なおかつ、それを1品ずつしか取り出せないように袋の口に細工をしてありました。
したがって、ここまではみごと作戦通りだったのです。ここまでは・・・。

しかし・・・

実はご主人が西条版の鞄を開いた瞬間から少し異変がありました。
真ん前にいたご主人は気づかれていたようですが、なにしろ「ハエ取りリボン」の攻撃に気を取られ、それどころではなかったのでしょう。

しかし「ゾウキン」はその「異変」を決定的にしました。それも期待をはるかに上回って。

デホッ、な、な、なんだ、この臭いは!ウゲッ


実は2日前のこと・・・。

♪ふぉぁんふぉぁんふぉぁん(回想シーン、ジングル)

← ← ← ← ←

西条くんは化学部のやつらを呼び止め
「なぁ。学校の薬品で一番刺激臭が強いのってなんだ?」
「うーん、アンモニアかホルマリンあたりかなぁ」。

「じゃぁ一番悪臭なのは?」
「いろいろあるけど・・・イオウ、あたりじゃない?」

「じゃぁ、お前ら、それ合成して世界一臭い液体つくれ」。

「そんなもんどうすんだよ?」
とは言ったものの、もともと化学部なんて部は気弱な帰宅部ですから、西条くんのこの「強制力のある提案」にまんまとのりました。
なんと言っても彼らは、学校で唯一、劇薬庫の鍵を開けられる特権者です。

意外なことに、わずか数時間でその「魔の液体」はできあがり
「いいか、西条。50cm以内でこの臭いを嗅いじゃダメだからな」。
という『使用上のご注意』をつけられながら小瓶を手渡されたのでした。

「僕たち、化学部って言っても医療にはド素人だからな。人体にどういう影響があるかまったく保証できない」。
という製作者の心配をよそに、とりあえず「50cm以内で嗅げない激臭」ということに、僕と西条くんは狂喜しました。

それほどの激臭のあるものですから、当日、僕たちは『使用上の注意』を守り、袋の中で「魔の液体」をゾウキンに染み込ませたのです。
その際には、ちょっと目に刺激があるな、と思った程度だったのですが。

→ → → → →

ところが。

これが予想以上のデキだったわけです。

ゾウキン本体登場から、わずか数十秒で異臭は激臭に変わり、4坪ほどの事務所はまたたくまに異臭ワールド!

「んな、な、な、なんなんだ!ケコッ
びっくりする、というか、すでに呼吸ができてないご主人。
そりゃそうです。その激臭は、すでに我々をもつつみこみ、仕掛けた僕たちでさえ、卒倒しそうないきおいなのです。

「うわぁ、た、たまらん!」
ご主人は、ゾウキンをこっち投げました。

「う、うわぁぁぁ、こ、こっちよこさないでください!、 ウゲェ!

とにかく目も開けていられないようなすさまじい刺激臭。この世のものと思えません。
生涯で嗅いだ臭いで、間違いなくトップの悪臭でした。

「ド、ドア・・・・・ドア開けましょう!」

悪いことに、この事務室は、開口窓がありませんでした。

するとご主人が
「だっ、だめだ!そんなことをしたら、店内に、ゲホッ、店内に臭いが、ウゲェ

ああ。立派な商売人です。もし、この騒ぎで亡くなっても、きっと語り継がれることでしょう。

「そ、そんなこと、ケホケホ、言ってる場合じゃ、ゴホッ・・・ウエ

「ぜっっっっっっったいにダメだぁ!ううううううううううううううううう」

もはや悶絶しそうなご主人。

「か、換気扇・・・」

「そ、それより、ゾウキン、もどせ!ゾウキン!」
かばんを僕たちにわたすご主人。
「え??しまってゲホ、いいんですかぁ?ゴホッ

「頼むからしまってくれ〜〜〜うがぁっ!
もう泣きがはいっちゃってます。

が、泣きが入ってるのは、実はこっちもまったく同じ。なにしろ、ひと呼吸すると吐き気が襲ってきます。
目からはボロボロと「フランダースの犬最終回」10回分まとめたような涙涙涙。横隔膜はすさまじい拒否反応をしるし、シャックリもとまりません。

「な、なんなんだね?こりゃ?オウ、オウッ
目を閉じ、鼻も口も手でふさいでいるご主人。

「だ・・・だから、開けちゃだめって・・・ヒィ・・・言った・・・・ウゲッ
もう、西条くんも僕もボロボロです。

こりゃまったく想定外でした。
僕たちの筋書きは、せいぜいご主人の手に臭いがうつって
「だから開けちゃだめだって言ったでしょ?」
で、チャンチャンなはずだったのですから。

それがもう、すでに会話もできないパニック状態。

僕たちとご主人は、たまらず事務室から店内へと飛び出しドアを閉めました。

「はぁはぁ・・・な、なに?あれ?」
息も荒くご主人。

「はぁはぁ。あ・・・あれはですねぇ・・・はぁはぁ。洗剤の・・・洗剤の・・・・」

本来はしっかり筋書きを決めてきたのに、呼吸をすることでせいいっぱいで、とても会話になりません。すでに洗剤の臭いじゃねーし。

「だから命にかかわるって言ったでしょ?ぜーぜー。」

これだけははっきり言いました。こういう意味ではなかったんですが。

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    2章-第13話へ続く

テーマ:笑える小説 - ジャンル:小説・文学

コメント

爆笑中です。
おもしろいi-178
2007/08/29(水) 09:53:32 | URL | #-[ 編集]

おもろす(∩∀`*)

ままちゃり

好きすっき

2007/08/29(水) 10:48:02 | URL | real #fhe9mams[ 編集]

ゲキオモロ
2007/11/23(金) 21:06:21 | URL | たっつ #-[ 編集]

3ポ−ルと610ハップじゃなくてよかったですね
2008/04/05(土) 13:04:18 | URL | #-[ 編集]
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