ぼくたちと駐在さんの700日戦争

田舎町で繰り広げられたしょーもない悪戯戦争です

  
←復習する?

patocar.gif
どういう風のふきまわしか、突如「パトカーで送ってやる」などということを言い出した駐在さん。
もともと、電車に乗り遅れたことからして大ウソだったので、僕たちにすれば、当然迷惑な申し出です。

ところが

「え?よろしいんですか?」
と、本屋のご主人。

「ええ。どうせパトロール行くところですから。ついでで」
いや。ついでって、行き先も聞いてないのに。というか行き先ないんですけどね。

「すみません。じゃぁ、お言葉にあまえまして、お願いしてもよろしいでしょうか」。
と、当の僕たちをさしおいて、勝手にお言葉にあまえるご主人。

「いえ、僕たち、別に今日でなくとも・・・なぁ?」
西条くんに同意を求める僕。

「ええ。のど元すぎれば熱さわすれるってやつで・・・」

バカ!ことわざの使い方が違うだろ?

「まぁ、駐在さんがそうおっしゃってくださってるんだから、遠慮しないで送ってもらいなさい。君たち。だいぶ急いでたみたいじゃないか」。
と、やさしくご主人。

「はぁ・・・でも・・・」

「ね。そうしなさい。パトカーなんてめったに乗れないし」。

僕たち、ついこないだ捕まって乗ったばっかりなんですけどね。それも警察への公務執行妨害罪で。

我々の思惑をよそに、なぜかトントン拍子(?)に話は進み、とうとう行き先もないのにパトカーで送ってもらうはめに。

まぁ、いいや。この際、駐在さんこきつかって、西条くんちあたりでおろしてもらおっと。


ということで、晴れて万引き尋問から解放され、はす向かいの駐在所へと移動することになった僕たち。

と、店を出ようとしたとき。

「君たち、今日はすまなかったね。これ持って行きなさい」。
と、本屋のご主人が僕たちに1つずつ、箱入りのシャープペンシルを渡しました。

「いえ、いいんですよ。こんなことしてもらわなくて」。
と、返そうとすると

「いいんだよ。時間とらせたね」

僕たちは、しばし無言になりましたが、あまりの申し訳なさに
「受け取れません。実は今日のことは・・・」
と、本当のことを言おうとしましたが

それをさえぎるようにご主人

「うん、いいんだ。考えてみると、君らは小学校のときからうちを利用してくれたお得意さんだ。
真冬の雪の降る中でも、体中に雪をつもらせて『小学3年生』を買いにきた君をまだ覚えてるよ。10円足りなかったって、いいっていうのにわざわざ家までもどって。
2度めについた時には、もう閉店間際だった。
寒かったろうに。
そんな君らを一瞬でもうたがった自分が恥ずかしいよ。
だから・・・持って行きなさい。これは、あのときのお礼だよ」。

僕はやさしいご主人の言葉に目頭が熱くなりました。

「すみません・・・・でした」。

駐在さんは、僕のあたまを、コツンとなぐりました。
もう10秒、そこにいたら涙がこぼれていたにちがいありません。

余談ですが、僕は、このときご主人にいただいたシャープペンシルを今でも持っています。黒い三菱製のシャープペンシルでした。


駐在さんの「パトカー」は、いわゆる交機などのパトカーと違い、ちっこいホンダシビックです。
うれしくはありませんでしたが、その後部座席に並んで乗る西条くんと僕。

商店街にある駐在所は、通行人が多いので、みんながなにごとかとのぞいていきます。
それは「送ってもらう」と言うよりは、どう見ても「つかまった」というふうにしか見えません。
となりの和菓子屋の店員などは、わざわざ店から出て来て見ている始末。

僕たちは、駐在さんに一刻も早く出発してくれるようたのみました。

ところが。

そこに、本屋のご主人がかけよってきました。

なにごとかと僕が窓を開けますと、

「これ。行くときに食べなさい」。
と、エールチョコを2つ、渡してくださいました。

いや、重ね重ねありがたいんですけど、
ご主人、それ傍目には、どうおせじに見たって「少年院に護送される高校生が差し入れもらってる」光景なんですけど。
実際、ほとんどの通行人が立ち止まってこちらを見ていました。

ああ・・・どんどんこの町が住みにくくなっていく・・・・。



YELLチョコレート
<♪大きいことはいいことだ♪の森永エールチョコレート>


clickme.gifbanner2.gif

    2章-第16話へつづく どうして諸葛孔明伝?

テーマ:笑える小説 - ジャンル:小説・文学

コメント
感動しました!
>このときご主人にいただいたシャープペンシルを今でも持っています。黒い三菱製のシャープペンシルでした。

 え〜話やなぁ。(;__;)ウルウル

2006/07/12(水) 21:18:46 | URL | コバコバ #-[ 編集]

私の家から、この本屋さんまでは6kmくらいありました。
だからこの時は、24kmも歩いたことになります。

本屋さんは、時代の流れに勝てず、なくなってしまいましたが、このご主人は、いまだご健在です。
2006/07/12(水) 21:32:02 | URL | くろわっ #NB/JWtcg[ 編集]
www;んんこ
かんどうした。本屋さん、やさしいな。
2007/05/10(木) 14:27:27 | URL | もつ #-[ 編集]
コメントする
URL:
コメント:
パスワード:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
この記事のトラックバックURL
http://700days.blog69.fc2.com/tb.php/33-c3be609a
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
トラックバック