←復習する? 3章-第7話

「なんだ。電気屋さん、不良品持って来たのか?」
期待と歓びが大きかっただけに、井上父さんはすっかり不機嫌になってしまいました。
家族も同様です。
「いや・・・そんなはずは・・・」。

「なんだ。電気屋さん、不良品持って来たのか?」
期待と歓びが大きかっただけに、井上父さんはすっかり不機嫌になってしまいました。
家族も同様です。
「いや・・・そんなはずは・・・」。
しかし、いくらやってもテレビは映りません。あたりまえです。
上では、孝昭くんが切断されたアンテナケーブルにベロベロバーしてるんですから。ベロベロバーも映りませんけどね。
井上父さんは、怖いばかりではなく、ちょっと常識を逸脱したところのある人でした。世間的には偉い人なんですが。
偉い人に多いですよね。こういう無謀な人。
グレート井上くんの話を信じれば、今回テレビを買い替えた理由のひとつに
「巨人があんまり負けるので」
というのがあるらしいのですが、それが本当だとすると、たいへんな親父です。
今回は万全を期して、不測の事態に備えていた僕ですが、不測の事態は思わぬところで不測に起きました。
グレート井上くんが、なんの合図も送っていないのに、外でベルが勝手に鳴っているのです!
な、なんで?
僕とグレート井上くんはあせりました。これではテレビが映ってしまいます。
僕が外を見てみると・・・
なんと!
道路でガキどもが自転車遊びをしています。小学校1、2年生といったところでしょうか。
ベルはこいつらが鳴らしまくっているのでした。
「げ!」
「西条!」
僕は、庭班の西条くんに、めくばせしました。
なんとかしろ!西条!
西条くんは、やはり目で「了解!」と合図を返すと、ガキどものほうにかけよりました。
「あー。おまえらー、あつまれー!」
ガキはガキにまかせるに限ります。
わらわらと、3、4人の子供たちが西条くんの前へ。
西条くんが言いました。
「お前ら、このあたりにUFOが来た跡があるの知ってるか?」
「えー!知らな〜い」。
「ウソばっかり〜」。
「俺がいままでお前らにウソついたことがあるか?」
と、西条くん。
「えー、だってお兄ちゃん、初めて会ったもん。あるわけないじゃん〜」。
幼な子の言う正論に
「バカヤロー!」本気で怒る西条くん。
「そういう問題じゃないんだ。いままでお前たちをだましたことあるか?ということだよ!」
「ない・・・・」。
「ウン・・・ない・・・」。
知能程度が同じということは、便利なことです。
「だろう?あっち側にあるんだよ。UFOの降りた跡が」。
「へ〜」。
「よし!じゃぁ、俺といっしょに探検に行ってみよう!びっくりするぞ。お前ら」。
「ほんとに〜?」
「ああ、本当だ。よし!お前、そこの鼻の赤いの!お前、副隊長だ!」
「はい!」
「え?僕は僕は?」
「お前は、キャプテン!いいな?」
「はい!」
「で、そこのちっこいお前。お前が大佐な」。
「はい!」
あっと言うまに手なづけました。
「よし!出動だ!副隊長、キャプテン、大佐の順で続け!」
すごいなぁ。西条。それって才能だぞ。すでに。
でも気のせいか、お前が一番楽しそうだけどな。
しかし、このあたりにUFOが飛来した跡なんてあったでしょうか?聴いたことありません。
変わって居間では、井上父さんが極限に達していました。
「映らんテレビなぞいらん!持って帰れ!」
「いえ・・・だんなさん・・そんなはずでは・・・」。
憔悴しきった電気屋オヤジ。
当時は現代の巨大家電店とは違い、すぐに替わりのテレビの在庫がある、というわけではありません。
つまり、持って帰ったら、替わりをすぐに持って来るというわけにはいかないのです。
「ちょっとアンテナ確認してきます・・・」。
そこですかさずグレート井上くん、
「古いテレビは映るんだから、アンテナじゃないでしょ?」
「あ・・ああ。そうなんだけどね・・・」。
「そうだ!古いテレビは、さっき映ってたじゃないか!?」
電気屋にすれば時間稼ぎのつもりだったのが、井上父さん。すっかりご機嫌ななめです。
「もういい!」
と、ここからがシナリオ。「僕」登場です。
「父さん。こいつ、無線とかやってて電気に詳しいんだけどさ。不良品じゃないって言うんだよ」。
「え?あ〜〜、タカさんとこの。君、テレビなんかわかるのかい?」
タカさん、は、『俺たちはカメ』で再三説明した僕の母です。
僕は、母が有名であったおかげで、この年代のかたには、奇妙な信頼がありました。
持つべきものは優秀な親です。
「えー。少しは」。
続けて僕。
「これはね。新しいテレビにありがちなんです。故障じゃないと思いますよ。まして不良品じゃありません」。
「電気屋さん、ちょっとこいつにさわらせてみてよ」。
グレート井上くんの棒読み台詞。
「いや・・・素人にはわからんよ。最新型だから」。
とは言うものの返品は困りますから
「いえ。30秒もあればいいですよ」。
という僕の申し出をしぶしぶ受けました。
ええ、実際は10秒もあればいいんですけどね。
僕は一旦テレビの裏側にまわり、今度は前の調整パネルを開けました。
ここで井上くんに目配せ。井上くんは頭で手を組み → ベルが鳴り → アンテナつながり
「映った!」
「映った!母さん、映ったよ!」
うーん。テレビが映ることをこんなに喜んでもらえるなんて。
電気屋はもっと驚きです。
「え?君、どうやって・・・」
「いや、これはですねー。固定チャンネルでなくなってから・・・・」
ここから延々と、横文字を羅列した意味のわからない説明をしましたが、なにしろ意味がわからないので当人も覚えておりません。
が
「へぇーーーーー」
と、まわりじゅうをうならせたのは間違いありませんでした。
真実を知るグレート井上くんだけが「よく言うよ。こいつ、信頼ならないなー」という顔してましたが。
その後、僕は手早くUHFのチャンネルを設定し、電気屋をうならせました。
「さすがタカさんの息子さんだねぇ」。
と、井上父さん。
よろこびもひとしおで、
「これで巨人が勝つのを見れる!」
本当だったんだ・・・・・。


3章-第9話へつづく その頃の西条?
上では、孝昭くんが切断されたアンテナケーブルにベロベロバーしてるんですから。ベロベロバーも映りませんけどね。
井上父さんは、怖いばかりではなく、ちょっと常識を逸脱したところのある人でした。世間的には偉い人なんですが。
偉い人に多いですよね。こういう無謀な人。
グレート井上くんの話を信じれば、今回テレビを買い替えた理由のひとつに
「巨人があんまり負けるので」
というのがあるらしいのですが、それが本当だとすると、たいへんな親父です。
今回は万全を期して、不測の事態に備えていた僕ですが、不測の事態は思わぬところで不測に起きました。
グレート井上くんが、なんの合図も送っていないのに、外でベルが勝手に鳴っているのです!
な、なんで?
僕とグレート井上くんはあせりました。これではテレビが映ってしまいます。
僕が外を見てみると・・・
なんと!
道路でガキどもが自転車遊びをしています。小学校1、2年生といったところでしょうか。
ベルはこいつらが鳴らしまくっているのでした。
「げ!」
「西条!」
僕は、庭班の西条くんに、めくばせしました。
なんとかしろ!西条!
西条くんは、やはり目で「了解!」と合図を返すと、ガキどものほうにかけよりました。
「あー。おまえらー、あつまれー!」
ガキはガキにまかせるに限ります。
わらわらと、3、4人の子供たちが西条くんの前へ。
西条くんが言いました。
「お前ら、このあたりにUFOが来た跡があるの知ってるか?」
「えー!知らな〜い」。
「ウソばっかり〜」。
「俺がいままでお前らにウソついたことがあるか?」
と、西条くん。
「えー、だってお兄ちゃん、初めて会ったもん。あるわけないじゃん〜」。
幼な子の言う正論に
「バカヤロー!」本気で怒る西条くん。
「そういう問題じゃないんだ。いままでお前たちをだましたことあるか?ということだよ!」
「ない・・・・」。
「ウン・・・ない・・・」。
知能程度が同じということは、便利なことです。
「だろう?あっち側にあるんだよ。UFOの降りた跡が」。
「へ〜」。
「よし!じゃぁ、俺といっしょに探検に行ってみよう!びっくりするぞ。お前ら」。
「ほんとに〜?」
「ああ、本当だ。よし!お前、そこの鼻の赤いの!お前、副隊長だ!」
「はい!」
「え?僕は僕は?」
「お前は、キャプテン!いいな?」
「はい!」
「で、そこのちっこいお前。お前が大佐な」。
「はい!」
あっと言うまに手なづけました。
「よし!出動だ!副隊長、キャプテン、大佐の順で続け!」
すごいなぁ。西条。それって才能だぞ。すでに。
でも気のせいか、お前が一番楽しそうだけどな。
しかし、このあたりにUFOが飛来した跡なんてあったでしょうか?聴いたことありません。
変わって居間では、井上父さんが極限に達していました。
「映らんテレビなぞいらん!持って帰れ!」
「いえ・・・だんなさん・・そんなはずでは・・・」。
憔悴しきった電気屋オヤジ。
当時は現代の巨大家電店とは違い、すぐに替わりのテレビの在庫がある、というわけではありません。
つまり、持って帰ったら、替わりをすぐに持って来るというわけにはいかないのです。
「ちょっとアンテナ確認してきます・・・」。
そこですかさずグレート井上くん、
「古いテレビは映るんだから、アンテナじゃないでしょ?」
「あ・・ああ。そうなんだけどね・・・」。
「そうだ!古いテレビは、さっき映ってたじゃないか!?」
電気屋にすれば時間稼ぎのつもりだったのが、井上父さん。すっかりご機嫌ななめです。
「もういい!」
と、ここからがシナリオ。「僕」登場です。
「父さん。こいつ、無線とかやってて電気に詳しいんだけどさ。不良品じゃないって言うんだよ」。
「え?あ〜〜、タカさんとこの。君、テレビなんかわかるのかい?」
タカさん、は、『俺たちはカメ』で再三説明した僕の母です。
僕は、母が有名であったおかげで、この年代のかたには、奇妙な信頼がありました。
持つべきものは優秀な親です。
「えー。少しは」。
続けて僕。
「これはね。新しいテレビにありがちなんです。故障じゃないと思いますよ。まして不良品じゃありません」。
「電気屋さん、ちょっとこいつにさわらせてみてよ」。
グレート井上くんの棒読み台詞。
「いや・・・素人にはわからんよ。最新型だから」。
とは言うものの返品は困りますから
「いえ。30秒もあればいいですよ」。
という僕の申し出をしぶしぶ受けました。
ええ、実際は10秒もあればいいんですけどね。
僕は一旦テレビの裏側にまわり、今度は前の調整パネルを開けました。
ここで井上くんに目配せ。井上くんは頭で手を組み → ベルが鳴り → アンテナつながり
「映った!」
「映った!母さん、映ったよ!」
うーん。テレビが映ることをこんなに喜んでもらえるなんて。
電気屋はもっと驚きです。
「え?君、どうやって・・・」
「いや、これはですねー。固定チャンネルでなくなってから・・・・」
ここから延々と、横文字を羅列した意味のわからない説明をしましたが、なにしろ意味がわからないので当人も覚えておりません。
が
「へぇーーーーー」
と、まわりじゅうをうならせたのは間違いありませんでした。
真実を知るグレート井上くんだけが「よく言うよ。こいつ、信頼ならないなー」という顔してましたが。
その後、僕は手早くUHFのチャンネルを設定し、電気屋をうならせました。
「さすがタカさんの息子さんだねぇ」。
と、井上父さん。
よろこびもひとしおで、
「これで巨人が勝つのを見れる!」
本当だったんだ・・・・・。


3章-第9話へつづく その頃の西条?







こんなんで巨人が勝つわけないじゃないですか!!
あはははは〜
これで巨人が勝つんなら、
ママチャリさん電気屋さんに就職できちゃいますよねぇ〜。
で、巨人FANのひとばっかりテレビ買うの〜
巨人勝つためにテレビ買い換えるって……。
すごいですね。それで勝ったらもっとすごいじゃないですか!
だけど負けるたびに買い換えてたらすごい量になりそうですね(笑)
西条君、分かります!
あたしもかなり年下の子と普通に遊べました。
でも同じレベルなのか…って後で軽くショックでしたけど(泣)(笑)