ぼくたちと駐在さんの700日戦争

 

  
最新話(10/17) 改訂中(8/7) 最新記事(10/14) ラジオ(10/17) アジト教室14 掲示板

この西条くんと孝昭くんの「差」は、すぐに表面化することになります。

「おい、次降りるぞ?」

西条くんは、A駅のひとつ前の駅で降りようと言い出しました。

「え?次?」
「まだA駅じゃねーだろ?」

キップはA駅分までありました。

「そうなんだけど、面倒くさい」

「面倒くさいって?」

西条くん最寄りのA駅は、県下でも10番以内に入る乗り換え駅で、この時間帯は、各高校の混じり合う坩堝(るつぼ)になります。

「登校んときは、それでもいいんだけどな。下校時はヒマもてあましてるから面倒くさい。特に土曜」

「なんだよ、西条。そんなのにビビってんの?」

「言ったろ?俺、有名人だから」

「はははっ!サインでももとめられんのか?」

「近いもんはある」

西条くんの「厄介事」の避け方には、驚くほどのものがありました。


ひとつ前のM駅。

ひとつ前と言ったって、そこは田舎のことですから。5kmほども距離があります。

西条くんは、普段は、そこまで原付バイクで来ているのだとか(※無免許)。

「そこまでしてんのかよ?バッカみてぇ〜」

「毎日、試合ばっかやってらんねぇ」

ここでいう『試合』とは、いわゆる格闘技の類いです。たぶん。


しかし、それはなにも西条くんに限った話ではありません。

中学の頃に最上級生として肩で風をきっていた連中みんなに言えることで、土曜のM駅は、一見してそれと分かる「新入生」たちの利用者で溢れていました。

一見してそれと分かる、という意味では、孝昭くんも同じです。




「ありゃ。ほんとに雨降り出してやがんの」

女子たちが忠告してくれた通り、M駅で本降りになっていました。

「バス停すぐそこだから」と、西条くん。

「えっ!この上、バス代かかんのかよ!?」

孝昭くんは、ただでさえ一駅分が無駄になっているのに「それなら買った方が安い」というエロ本換算で拒否。

見学を兼ねて歩くと言い出しました。

「やっぱり傘かせ」

「いいよ」

僕の折り畳み傘を差し出すと、

「オマエのじゃなくってよ〜、女子から借りたのあんだろが」

「え!?」

「あ。いいな〜〜、孝昭」

どうしてでしょう? 同じ傘なのに、女子が使っているヤツの方が『圧倒的に価値が高い』のは。

「少し舐めさせろ」

「やめてくれっ!西条!」

そういう付加価値です。

「舐めるって〜〜〜〜w 馬鹿か、西条」

「姉のいるお前にはわかるまい」

「わかるかっ!」


しかし、孝昭くんに女物の傘は、目立ちすぎました。

駅から着いて来ていた「新入生」がいたのです。

「よぉ〜〜〜」

「あ?」

6人ほどのグループ。

彼らもまた、一目で、中学出は肩で風を切っていたであろう「M駅利用者」です。

「カワイイ傘さしてんじゃん?」

「ぁあ?」


「なんだ?テメェら」

すごむ孝昭くん。

「かまうなって。行くぞ」と、西条くん。

しかし、相手はそう簡単に降りてくれません。

「お?やんのか?」
「コイツ、俺らのシマで、デカいツラしてやがんな〜〜」

いきなりの展開!

彼らにとって、因縁などはなんでもいいのです。

高校に入って、突然、デカいツラができなくなったフラストレーションを発散できれば。

「シマ? 本州がか?」

「あ!孝昭、それ俺のギャグ…!」

集団も4人以上になると、役割は分かれます。

「おもしれぇなぁ!テメェ」

直接の脅し役と、

「だろ?俺が考えたんだ」
「ウソつけ!孝昭!」

「おいおい。やめとけって〜。言っとくが、コイツは中学じゃボクシングで県下3位だったんだぜ?」

そして、止めるフリをしてハクを付ける役。

たいていは、それにビビって、なにもせずに金だけせしめることができるワケです。

何度も上手くいっているのでしょう。

それもあくまで、普通なら。


ところが、

 バシィッ!!

孝昭くん、いきなり傘を凶器に襲いかかりました!

なんの前触れもなく!

傘で顔面づき!

「それがどうしたぁーーーーー!!!」

相手はあまりに虚を突かれてなにが起きたか把握できていないようでした。

孝昭くん、続けざまの攻撃!

「3位じゃ上に2人もいるじゃねぇか!ボケ!」

バシッ!! ビシッ!!

は、速い!

まったく間髪おきません!

 うわぁ〜〜〜・・・

一番ビビったのは、僕です。

「さ、西条!」

「あ〜あ・・・・」

「あ〜あ、じゃなくって・・・!」

「今日は、体育も生理で見学だったのに」

「い、いいから!」

西条くん、しかたなく参戦!

「せいやっ!」

いきなり一人に逆回し蹴りをくらわせ、

「ゲッ・・・・!さ、西条だ!」

ひとりが叫んだところで、相手がビビって、あっけなく闘いは終わりました。

・・・と、思ったのですが、

「コノヤロウ!さっきみたいなデカイ口たたいてみろ!オラァ!」

最初のひとりを集中攻撃!

孝昭くん、まったく手をやすめません!

「すげ・・・!孝昭・・・・!」

「や、やめろって!孝昭ぃ!」

相手の顔面は血だらけです!

僕が背後から押さえてようやく、

「ヘッ!剣道で3位になってから来やがれ!ボケ!」


僕は、孝昭くんの恐ろしさと、西条くんの有名さを、同時に知ることになったのです。

なんか、とんでもないのと友達になってしまいました・・・・。


それより問題は、

「あーあ・・・傘、ボロボロ・・・・・」

女子から借りた傘は、あわれ原型をとどめていませんでした。

「ワリィな。姉ちゃんのやるから。それで弁償してやってくれ」

「うーん・・・弁償はいいんだけど・・・・・」

問題は、

「あの女子たちの名前しらないし・・・・・。どこの学校の子だろ?」

「「テメェが一番恐ろしいわっ!!」」



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コメント

ママチャリ笑笑ほんとムカつく笑笑
2017/10/03(火) 00:41:02 | URL | たかちゃん #-[ 編集]

昨日はツイキャスありがとうございました☺️
ご機嫌で内定式行けました(笑)

今までもずっと出てきてたけどたかあきくんと西条くんは戦い方が全然違いますね〜
喧嘩したいたかあきくんと喧嘩したくない西条くん。
どっちもかっこいい^^
2017/10/03(火) 02:39:08 | URL | 美緒 #-[ 編集]

ママちゃり君は、無差別級(笑)
2017/10/03(火) 02:57:36 | URL | 黒猫 #-[ 編集]

三人とも大問題児ですね!!!
2017/10/03(火) 04:10:39 | URL | ラプラス #-[ 編集]

西条は早く家に帰って 家でみんなと楽しく遊びたかったんでしょうね!
2017/10/03(火) 05:46:46 | URL | きゅう #WzzJX4NY[ 編集]

西条君は本当に喧嘩したくないんですね〜それなのに有名過ぎて相手がやって来てしまうという… それに対して孝昭くんは売られた喧嘩は喜んで買うと。本当に正反対の二人!ママチャリくんはあんなに馴れ馴れしく話しておいて、相手を知らなかったのかいっ!ってそれが一番の問題ですね〜(笑)
2017/10/03(火) 07:30:16 | URL | TEN子 #-[ 編集]

最後の衝撃(笑)

2017/10/03(火) 07:41:38 | URL | TY5 #.kNTwpIA[ 編集]

恐ろしさが渋滞してますねw
2017/10/03(火) 08:29:07 | URL | 虚空の双牙 #-[ 編集]

まさかのオチ…笑
2017/10/03(火) 11:17:04 | URL | Hiyo #-[ 編集]

孝明君
喧嘩の総合商社、売ります、買いますなんでもこい!

西条君
喧嘩の下請け最強メーカー、発注された物は迅速に高品質納入。

ママチャリ君
色ボケホイホイ。笑
2017/10/03(火) 14:13:16 | URL | トーマ #-[ 編集]
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