ぼくたちと駐在さんの700日戦争

 

  
最新話(10/19) 改訂中(8/7) 最新記事(10/14) ラジオ(10/17) アジト教室14 掲示板

西条くんのトラブルの避け方は、尋常ではなく、バス停でさえも

「並んでると襲って来るヤツがいる」

「「あ・・・・そう・・・・・」」

と言うくらいで、列に並ぶことさえしないというレベル。

「俺はいいんだけど、民間人に迷惑かかんだろ?」

「「民間人・・・・・」」

『民間人』などという単語、高校で聞くとは思ってもいませんでした・・・・。

まぁ、高校でさえ、A市からしたら、ずっと辺鄙(へんぴ)な我が校を選んだくらいですから。

2年後に柳たちが入学して来るまで、A市から通学している生徒は、西条くんだけでした。


1年生の不良というのは、多かれ少なかれ、そういう緊張状態に置かれるものですが(※置かれたものだった)、『上級生殺し』の異名まで持つ西条くんは”桁ハズレ”でした。

そういう輩は、手っ取り早く仲のいい上級生にくっつくか、群れを作って対処するものですが、西条くんは、「ひとり」を貫いていたのです。正確に言えば、「仲間になるヤツがいなかった」と言うのが正しいかも知れません。

悪いことに、上級生にくっついた連中や、群れを作った連中は、例外なく気が大きくなります。

彼らにとって、1年生「西条」は、”恰好のターゲット”でもあったわけで、

「お!テメ、西条じゃねぇか?」
「ホントだ!西条だ!」


「人気者だなぁ〜、西条」平然と、孝昭くん。

「だろ?」

「言ってる場合じゃないよ・・・孝昭」

今度の相手は5人。

「ちぃ〜っと顔貸してくんねーかな。西条サンよ」

さっきより1人少ないですが、中学まで暴力沙汰なんかまったく縁のなかった僕には、たまったものじゃありません。

なんでエロ本のために、ここまで・・・・。

「お前ら、100m何秒?」

「え?逃げんのかよ?西条」

「あ?」

その、「これまでずっと孤軍奮闘」だった西条くんが、

「あ。そっか!孝昭、1人くらいならまかせられるか?」

「バカ言え!俺が4人やってやるから。テメェは自分の身でも守ってろ」

思いもよらぬ「初めての仲間」を得たわけです。それもこれ以上ない、というくらいに心強い。

それはいいとして、

あの〜〜〜・・・僕は・・・・?

「じゃ、1人まかせたぞ。孝昭」

「数かぞえらんねぇのか?4人でいいつってるだろ」

だから〜〜・・・僕は・・・・?

相手はそんなに待ってくれません。

「なぁにゴチャゴチャくっちゃべってやがんだ?西条ぉ!」

「じゃ、顔貸してやるから。利息つけて返してもらうぞ?」

「ケッ!あいかわらずホザくなぁ、西条」

こうして顔の賃貸借契約が成立し、人っ気のない路地裏へ。

よもや、駅から降りて15分ちょいで、2度もこんな目に遭うとは。

いったい、西条くんはどうやって生きのびて来たのでしょう?


路地に向かう途中、西条くんは僕に耳打ちしました。

「俺が合図したら、全力で次のバス停へ走れ」

コクンコクン。

「そこで、また女子つかまえて傘かりとけよ?」

「や・・・・やってみる・・・・・・」

「お前と友達になれてヨカッタ♪」

「いや・・・・・」

でも、そんなことできるのでしょうか?

前に2人、後ろに3人のサンドイッチ連行状態。


僕には、孝昭くんの方が若干早く動き出したように思えました。

それは、西条くんにとっては計算外だった気がします。

でも、ほとんど西条くんと2人同時に、

 ドッ!

前方の2人の背中に思い切り蹴りを入れました!

前の二人は、たまらず潰されたカエルみたいに前のめりに倒れました。

「テ、テメッ!」

後方の3人がたじろいだので、そのうちで最も小柄なヤツに体当たりを喰らわして、逃げようとしましたが、

「まだだ!まだ!」

西条くんの引き止める声が聴こえました。

・・・・それから、数秒。

西条くんが、まるで舞でも舞っているかのように回転すると、3人が足を抱えて地べたに伏してしまいました。

いったい何が起きたのか?

呆然としている僕に、

「今だ!行け!」

再び西条くんの指示。

「わ、わかった!」

全速力でその場を離れます。

相手が追って来る気配はありません。

一度だけ振り向くと、相手の一人も起き上がれていませんでした。

そのうち一人を、孝昭くんが折れた傘を突き刺しているように見えましたが、きっと気のせいでしょう・・・。

あんなに強い高校生がいるなんて・・・・

いや、西条くんが強いことは、先輩に絡まれた時に知っていましたが、

あの2人組の強さと言ったら・・・。


同時に、あの場から自分だけが逃げていることが、情けなくって。悔しくって。


這々の体で、逃げついた「卑怯者」のバス停。

ジャストのタイミングでバスが止まり、

「の、乗ります!乗ります!」

5つほどバス停を過ぎて、ようやく一息つきました。

つきましたが、


・・・・ところで、西条の家ってどこだ?


それ以前に、


「ここ・・・・どこだろ?」



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コメント

慌ててるママチャリ君の心情が良く伝わってきます。、
今なら携帯電話がありますから何とかなりますが、本当、昔はこんなときどうにもなりませんでした。(゜-゜)(。_。)

西条君、本当に一人で孤軍奮闘してたのですね。
いい仲間ができて良かったです♪
2017/10/04(水) 02:06:15 | URL | ラプラス #-[ 編集]

顔の賃貸借契約(笑)
2017/10/04(水) 02:28:13 | URL | 草原 #-[ 編集]

傘を突き刺してた!?
危ない危ない( ˙_˙"٥)
2017/10/04(水) 06:02:09 | URL | きゅう #WzzJX4NY[ 編集]

やってしまいましたねw
2017/10/04(水) 07:57:10 | URL | 虚空の双牙 #-[ 編集]

ママチャリくん、バス停に行けとは言われたけど、乗ったらダメだったじゃあ…余程慌ててたでしょうね。高校一年生で喧嘩に免疫のある子なんてそうそういないと思うので仕方ないですよ。
2017/10/04(水) 11:20:18 | URL | ゆいとん #-[ 編集]

〉ここ、どこだろ?

とりあえず、女子に聞いてください
2017/10/05(木) 01:10:20 | URL | にしかご #-[ 編集]

毎日、運動会(笑)
2017/10/05(木) 05:35:34 | URL | 黒猫 #-[ 編集]

傘・・・・怖すぎですね。

(3)が2つありますよー
2017/10/05(木) 10:07:18 | URL | 高氏 #7NOctMFM[ 編集]
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