←5章-第5話へ 5章-第7話へ→
翌日から、僕たちは、少なくとも駐在所前は2人乗りをしなくなりました。
なにしろ次は、町中掃除しなくてはならない可能性があったからです。
前回の町内掃除でさえ、炎天下かなりきつかったのに、さすがにそれは避けたい。
掃除、こりごりでした。
そういう意味では、駐在さんの「罰則」は、まったくもって的を得ておりました。
もちろん、そのまま負けを認めよう、などといったしおらしいことはまったくありませんでしたが。
そうまでして駐在所前を通るのには理由があります。
そうです。グレート井上くんが奥さんの妹「美奈子さん」に一目会いたいがため。
彼はなにも言いませんでしたが、僕たちは、すでにそれを理解していました。
翌日から、僕たちは、少なくとも駐在所前は2人乗りをしなくなりました。
なにしろ次は、町中掃除しなくてはならない可能性があったからです。
前回の町内掃除でさえ、炎天下かなりきつかったのに、さすがにそれは避けたい。
掃除、こりごりでした。
そういう意味では、駐在さんの「罰則」は、まったくもって的を得ておりました。
もちろん、そのまま負けを認めよう、などといったしおらしいことはまったくありませんでしたが。
そうまでして駐在所前を通るのには理由があります。
そうです。グレート井上くんが奥さんの妹「美奈子さん」に一目会いたいがため。
彼はなにも言いませんでしたが、僕たちは、すでにそれを理解していました。
偶然的に、その日は前回のお掃除メンバーとまったく同じ面々で帰宅していた僕たち。
駐在所前をすぎて、商店街が終わったところに神社があります。
神社の鳥居の前で、神主さんと話をしている女性がおられました。
どこかで見た事のある人です。
「あ!ほら!今、話したお兄ちゃんたちだよ!」
「ほほお」と、神主さん。
兄ちゃん、って僕たちのことでしょうか?
「お兄ちゃんたち、こっちこっち!こっち来て!」
「え?僕たちですか?」
わけもわからず、おそるおそる近寄る僕たち6人。
女性(といっても、かなり年配なかたでしたが)が、神主さんに言いました。
「このお兄ちゃんたちねぇ。偉いんだよ。毎日町内掃除してくれて」。
「え?あ?」
そうか!掃除させられてたとき、声かけてきたおばさんだぁ。
「ほんとにねぇ。今時の若い人にはめずらしいよ。そこの高校かい?」
「え、ええ。そうですけど」。
とにかくえらいえらいを連発。褒めちぎるおばさん。
悪い気はしません。
「いやいや。まぁ、市民として当然のことをしてるだけですよぉ。僕たちぃ。なぁ?」
西条くんも有頂天です。なにしろ褒められ馴れていませんから。よほどうれしいのでしょう。
まさか「自転車2人乗りの罰」などと言い出せるわけもありません。
「そうかい?偉いねぇ。それでね、あんたたちに相談なんだけど」
「はい?」
「神主さんがね。もうお年を召しちゃってるんで、その上でこの暑さでしょ?境内と特に階段の掃除がたいへんなんだって!」。
「あ?」
「それで今ちょうどあんたたちのこと話したとこだったんだよ」。
ええ!?
「それでねぇ。今日はここの神社掃除してもらえないかねぇ?あんたたち」
そこは「心臓破りの階段」と言われる150段を超える階段がありました。
じょ、冗談じゃありません!
「お祭りも近いしねぇ。やっぱり清めておきたいでしょ?市民としては」。
「い、いや・・・」
ところが
「すみませんねぇ・・。ありがとうございますぅ・・・わたしもねぇ・・・しんのぞうが弱いもので・・・」
見るからに丈夫そうな神主さんが、弱々しく「御礼」を言ってしまいました。
当のおばさんは、
「じゃ。がんばってね!ほんっと、今時の若い人にはめずらしいよ。ごリヤクあるよ。きっと!」。
加えて
「あ。そうだ!和尚さんにも紹介しなくっちゃね!」
この無宗教ババァがぁ!
2時間後、
「神社ってこんなに広かったか?」
「なんで・・・僕たち、こんなことやってるわけ?」
「3日連続はきついよなぁ・・・」。
「先輩が・・・花火大会だなんて言うから・・・」
これはジェミー。
「お!お前そこまでもどるのか!?ドラゴンばっか買って来たのお前だろうが!」
「だって・・・ドラゴン安くて奇麗なんだもん」。
「しかし、ほんっと広いな、ここ。球場みたいな広さだぞ、こりゃ」。
確かに。僕たちは、すでにずいぶんと長いこと掃除を続けていました。
「でもさ。ここ神社だろ?儲かってるからな。なんか礼くれるかも」。
「あ!それは言えてる!」
「そこの賽銭箱のお金、好きなように分けていいよ、とかな」。
うん。それは絶対にないけど。
しかし、全員が全員、横しまな期待があったことは確かです。
なにしろ、この労働量。ハンパじゃありません。
と、そこへ神主さんが「元気そうに」かけてまいりました。しんのぞうが弱いのに全力疾走していいのか?
「おーい君たち〜!」
「はいはい」
「言い忘れてたんだけどねー」。
「そこ、隣の人の土地だから」。
言い忘れるなよっ!
僕たちは150段にものぼる階段を掃除したあげく、まったく縁もゆかりもごりやくもない人の土地まで掃除していたのでした。
すでに僕たちはヘトヘトで、喉もカラカラでした。
「そうだそうだ。君たち」。
神主さんが言いました。
やった!全員が期待に目を輝かせました。
「今日はありがとう。これ、御礼と言っちゃなんだけど。みんなで分けて持ってって」。
と、人数分を渡したのは・・・
お守り!?
僕たちの落胆は、もはや文章では言い表わせません。
帰り道。
「ご利益、あるといいけど」。
「捨てるに捨てられないしなぁ」。
「だいたい、あそこの神社さぁ犬の・・・」。
ん?
お守りをよく見ると
安産
ごりやく・・・。あるようだとすっごく困るんですけど。僕たち・・・。
神様。僕たちは、いっつも悪いことばかりしている本当に悪い子です。
どうかごりやくがございませんように・・・。


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5章-第7話へつづく
駐在所前をすぎて、商店街が終わったところに神社があります。
神社の鳥居の前で、神主さんと話をしている女性がおられました。
どこかで見た事のある人です。
「あ!ほら!今、話したお兄ちゃんたちだよ!」
「ほほお」と、神主さん。
兄ちゃん、って僕たちのことでしょうか?
「お兄ちゃんたち、こっちこっち!こっち来て!」
「え?僕たちですか?」
わけもわからず、おそるおそる近寄る僕たち6人。
女性(といっても、かなり年配なかたでしたが)が、神主さんに言いました。
「このお兄ちゃんたちねぇ。偉いんだよ。毎日町内掃除してくれて」。
「え?あ?」
そうか!掃除させられてたとき、声かけてきたおばさんだぁ。
「ほんとにねぇ。今時の若い人にはめずらしいよ。そこの高校かい?」
「え、ええ。そうですけど」。
とにかくえらいえらいを連発。褒めちぎるおばさん。
悪い気はしません。
「いやいや。まぁ、市民として当然のことをしてるだけですよぉ。僕たちぃ。なぁ?」
西条くんも有頂天です。なにしろ褒められ馴れていませんから。よほどうれしいのでしょう。
まさか「自転車2人乗りの罰」などと言い出せるわけもありません。
「そうかい?偉いねぇ。それでね、あんたたちに相談なんだけど」
「はい?」
「神主さんがね。もうお年を召しちゃってるんで、その上でこの暑さでしょ?境内と特に階段の掃除がたいへんなんだって!」。
「あ?」
「それで今ちょうどあんたたちのこと話したとこだったんだよ」。
ええ!?
「それでねぇ。今日はここの神社掃除してもらえないかねぇ?あんたたち」
そこは「心臓破りの階段」と言われる150段を超える階段がありました。
じょ、冗談じゃありません!
「お祭りも近いしねぇ。やっぱり清めておきたいでしょ?市民としては」。
「い、いや・・・」
ところが
「すみませんねぇ・・。ありがとうございますぅ・・・わたしもねぇ・・・しんのぞうが弱いもので・・・」
見るからに丈夫そうな神主さんが、弱々しく「御礼」を言ってしまいました。
当のおばさんは、
「じゃ。がんばってね!ほんっと、今時の若い人にはめずらしいよ。ごリヤクあるよ。きっと!」。
加えて
「あ。そうだ!和尚さんにも紹介しなくっちゃね!」
この無宗教ババァがぁ!
2時間後、
「神社ってこんなに広かったか?」
「なんで・・・僕たち、こんなことやってるわけ?」
「3日連続はきついよなぁ・・・」。
「先輩が・・・花火大会だなんて言うから・・・」
これはジェミー。
「お!お前そこまでもどるのか!?ドラゴンばっか買って来たのお前だろうが!」
「だって・・・ドラゴン安くて奇麗なんだもん」。
「しかし、ほんっと広いな、ここ。球場みたいな広さだぞ、こりゃ」。
確かに。僕たちは、すでにずいぶんと長いこと掃除を続けていました。
「でもさ。ここ神社だろ?儲かってるからな。なんか礼くれるかも」。
「あ!それは言えてる!」
「そこの賽銭箱のお金、好きなように分けていいよ、とかな」。
うん。それは絶対にないけど。
しかし、全員が全員、横しまな期待があったことは確かです。
なにしろ、この労働量。ハンパじゃありません。
と、そこへ神主さんが「元気そうに」かけてまいりました。しんのぞうが弱いのに全力疾走していいのか?
「おーい君たち〜!」
「はいはい」
「言い忘れてたんだけどねー」。
「そこ、隣の人の土地だから」。
言い忘れるなよっ!
僕たちは150段にものぼる階段を掃除したあげく、まったく縁もゆかりもごりやくもない人の土地まで掃除していたのでした。
すでに僕たちはヘトヘトで、喉もカラカラでした。
「そうだそうだ。君たち」。
神主さんが言いました。
やった!全員が期待に目を輝かせました。
「今日はありがとう。これ、御礼と言っちゃなんだけど。みんなで分けて持ってって」。
と、人数分を渡したのは・・・
お守り!?
僕たちの落胆は、もはや文章では言い表わせません。
帰り道。
「ご利益、あるといいけど」。
「捨てるに捨てられないしなぁ」。
「だいたい、あそこの神社さぁ犬の・・・」。
ん?
お守りをよく見ると
安産
ごりやく・・・。あるようだとすっごく困るんですけど。僕たち・・・。
神様。僕たちは、いっつも悪いことばかりしている本当に悪い子です。
どうかごりやくがございませんように・・・。


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安産ですか。。。
爆笑しまいました。
私的に、ここが今までで一番ツボに入ってしまいました。
>るぃさん
そうですか〜。
びっくりですが、どうぞ続けてお楽しみくださいまし。
同情します。