ぼくたちと駐在さんの700日戦争

 

  
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第13話 サイジョーの約束(1)
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グレート井上くんと孝昭くん、美奈子さんはそのまま病院へ治療に。僕たちは、その日のうちに調書をとるために、警察本署へと行くことになり、帰りはすでに午前1時過ぎでした。

翌日僕は、前夜にあったあまりにたくさんのことを思い出し、呆然と1日を過ごしていました。

しかし。さらにその夜、またしても大事が起きたのです。


時計が午後10時半をまわったころ、1本の電話がきました。
孝昭くんです。

「さ、西条が入院した!?」

「ああ。さっきアイツの仲間から連絡があった」

「他のヤツには連絡したのか?」

「いや。10時すぎに動けるの、お前しかいないから」

そうです。当時は高校生が電話できるのはせいぜい9時まで。外出などさらに厳しいものでした。が、僕の家はちょっと違いました。

「とにかく、今から迎えに行くから!病院に行ってみよう」

「わかった。待ってる」

入院の理由はおおよそ想像がつきました。

やがて迎えに来た孝昭くんのCBの後ろに乗って、僕は一路病院へと向かいました。

が。

「ところでさ。手ぶらでいいのかな?病院に行くのに」
孝昭くんが言いました。

「それもそうだけど。今いくら持ってる?」

「俺。300円」
「僕は600円ある」
「合わせて900円かぁ。ここんとこ出費多かったからなぁ。なんか見舞、買ってこうか」
「そうだな。手ブラってのも考えもんだしな」

しかし、現在と違いまして、コンビニなどまったくない時代ですから、開いている店がありません。

すると孝昭くんが、
「俺、知り合いの店あるから、そこでなんか買って来るよ」
と、商店街へと方向を変えました。

やがてその「知り合いの店」から、なにやら包みを持って帰って来た孝昭くん。
包みを僕にあずけました。

どうもその包みの感触が気になったので
「孝昭。これ、なんだ?」

「ん・・・・。ブ・・・・・・・ム」
なにか言いづらそうにぼそぼそ話す孝昭くん。

「あんだって?」

「ブ・・ラ・・グ・・ムだよ」

「あのさ。気のせいかも知れないけれど、今、豚バラって聴こえたんだけど・・・」

「だからぁ・・・豚バラ肉900グラム

「アホかーーーーーーっ!!」

「しょーがねぇだろ?肉屋なんだから。それでも100グラムサービスしてもらったんだぜ!」

「なぁに得意になってんだよ!どこのバカが豚バラ見舞いに持ってく!?」

「だって肉屋のオヤジも 見舞いに肉持ってくのは縁起がいい って言ってたぜ!」

お前。絶対ダマされてるからっ!

「手ぶらよりマシだろ?」

「そ、そうかなぁ・・・」
手ブラのほうがマシな気もするのですが。

「でも。なるべく早く喰えって。賞味期限、明日くらいらしい」

やっぱりダマされてる・・・。

見舞いに賞味期限付きのバラ肉持って来たやつの話を聞いたことがありません。
バイクの後ろでつかまりながら、僕はすでに憂鬱の極地でした。

ほどなくして市立病院に到着しましたが、なにしろ夜中。正面玄関は開いていません。
僕たちは、緊急用外来の入口へと急いで向かいました。豚バラ持って。

入口から入るとすぐに年配の看護婦さんが現れました。

「もう面会の時間は過ぎてますよ」
「わかってます。ここに西条っていう・・・」
「あら。あなたたち西条さんのお知り合いのかた?」
「ええ」

ここまで聞いて、看護婦さんは、とても困った表情をされました。

「それじゃ・・・しょうがないわね。こっちいらっしゃい・・・」
と、僕たちを通してくれました。

「悪いんですか?西条・・・」
「ええ。今夜がヤマかもねぇ・・・。お気の毒に」

「え!」

 今夜が・・・・ヤマ・・・・・・?

「今、集中治療室にいらっしゃるから。静かにね。もうご親戚のかたも集まってるわ・・・」

親戚が集められてる・・・・。僕たちは愕然としました。

集中治療室の入口前には、確かに西条くんの親戚らしき人たちが大勢集まっていました。
お母さんが見えられないのは、中に入っているからでしょうか。

 そんな・・・。

やがてその中から、ひとりのおばさんが、僕たちの前へ。

「こ、この度はなんと申し上げてよいか・・・」
挨拶する僕たちに、無言で会釈を返すおばさん。

「これ・・・つまらないモノですが・・・」と、孝昭くんはおばさんに豚バラの包みを渡しました。
ホントにつまらないモノです。これ以上つまらん見舞いはない、と言っても過言ではありません。

おばさん。
「ありがとうございます・・・・。ところであなたがたは・・習字教室の生徒さんかしら?」

「・・・・習字?」
「・・・・生徒?」

→ → → → → →

再びバイクで走っている僕たち。

「馬鹿ーーーーーーーっ!市立病院が違うだろうが!」

「いやぁ〜〜。考えてみたら、西条、となりの市じゃん」

「あほーーーーっ!おかげで見舞い品おいてきちゃっただろ!?」

そうです。今さら、返せとも言えず、見舞い品の豚バラ肉はおいてきてしまいました。
しかも明日危篤かも知れない人に、明日期限の豚バラって、イヤガラセ以外のなにものでもありません。

「しかしあの看護婦も。俺らフルネーム言ったのにな」

「ああ。なんだ、西条善兵衛って・・・」

というわけで、人違いもはなはだしく、と言うか、病院違いもはなはだしく、隣の市の市立病院へ向かう僕たち。

しかし、となりの市の市立病院は、ごく一般の見舞客である僕たちを通すはずもなく、警備員さんにケンもホロロに追い返されたのでした。



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コメント

わはは~~、笑った笑った~~(^◇^)
でも、これは絶対フィクションだな~!!
絶対、間違いなし~^m^
それにしても面白すぎ~(^^♪
また止まらなくなっちゃうじゃないか~~(>_<)
あんまり熱中してパソコン見ていると疲れるんだよ~~((+_+))
2006/10/14(土) 22:23:29 | URL | ヘムヘム #-[ 編集]
あ~すいませんね~。

どこがフィクションかは明かせません。
物語の意味がうすれてしまいますので。
ちなみに市立病院とりちがえはノンフィクションです。
2006/10/14(土) 23:08:39 | URL | くろわっ #NB/JWtcg[ 編集]

はじめまして☆ここまであっと言う間に読みました。
海外で昼間から引きこもってしまいます。
面白過ぎて。

豚バラで大爆笑です!!(もちろん他でも)
でもそのあとすぐに、今夜がヤマかもで
ショックで、涙ちょっとでてきたところ、
裏切られました。
上手過ぎます。
コメント残さずにはいられませんでした。
2006/11/08(水) 10:35:53 | URL | ろすぎ #-[ 編集]

>ろすぎさん、ありがとうございます

でも5章はフィナーレにすべてがあります。
どうぞ読み進んでくださいませ。
5章、ラストでお待ちしてま~す。
2006/11/08(水) 15:38:57 | URL | くろわっ #NB/JWtcg[ 編集]

さすがに豚肉、しかも期限が明日までのお肉のお見舞いはもらった本人達もビックリでしょう!!あぁ~お腹がよじれるかと思いました
2007/05/09(水) 00:38:41 | URL | しげ #p3q9XHMw[ 編集]
管理人のみ閲覧できます
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2007/08/18(土) 07:26:48 | | #[ 編集]

ちんたらとおさらい中。

実はこの豚バラ話、お気に入りのひとつだったりする・・・^^;

「豚コマ」とか「鶏モモ」じゃなくて「豚バラ」なのがあたし的には非常にツボで。
え?なんでかって?・・・なんででしょう(笑)

また、ぼそぼそ告白する孝昭くんがかわいいんだな~♪
2008/02/19(火) 07:20:25 | URL | ねぎ #7LgpsTjw[ 編集]

ダメ~!!おもしろすぎー、早く読み進めたいのに笑いすぎで小休止です。
映画からきたので始めての出来事が多くて楽しんでます。引き続き読み進めます。。。v-221
2008/05/10(土) 17:53:24 | URL | chi #-[ 編集]

わかります。わかります。
何か持っていかなきゃ!って考えますよ。
でも、お肉屋さん、コロッケとか から揚げとか、なかったのでしょうか?売り切れてた?
  う~ん だまされちゃった・・・復讐するほど だまされてるって気づいてない・・・の?
2008/05/25(日) 20:50:28 | URL | アキプン #NRBrZvOo[ 編集]
くくく
ぶたバラって・・・くそおもしれーーーーーーー!!!!
2009/11/27(金) 21:02:20 | URL | どんとかっと #-[ 編集]

なんで、豚バラe-3
2011/08/22(月) 14:14:20 | URL | TM #-[ 編集]
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