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西条くんが全メンバーに集合をかけたのは翌日のことでした。
この日は、メンバーはおろか、つい昨日来たばかりの夕子ちゃんまで呼び出していたので、僕たちはなにごとか、と構えながらの集合でした。

さすがに20人近い人数。病室やらロビーやらに集めるわけにもいかず、西条くんは病室を出て中庭の大きな木の下に僕たちを集めました。
「よーし!みんな集まったな。悪いなー、お足下の悪い中お集りいただきまして」。
西条くんが全メンバーに集合をかけたのは翌日のことでした。
この日は、メンバーはおろか、つい昨日来たばかりの夕子ちゃんまで呼び出していたので、僕たちはなにごとか、と構えながらの集合でした。

さすがに20人近い人数。病室やらロビーやらに集めるわけにもいかず、西条くんは病室を出て中庭の大きな木の下に僕たちを集めました。
「よーし!みんな集まったな。悪いなー、お足下の悪い中お集りいただきまして」。
「いや。西条。ピーカンだから。日本語の使い方おかしいぞ」。
「慣れねーこと言うなよ。ばか」。
うーん。人望のないヤツ。
「それでな。本日お前らにお集りいただきましたのはほかでもありません」。
「だから敬語無理して使うな。お前」。
「今日はですねー。お前らに、水着の美女をたっぷり楽しませてやろう、って企画なんですよ。悪くないだろ?」
「はぁ?」
と、僕たち。
「西条、それって夕子のことじゃぁないだろうなぁ?」
グレート井上くん。不安でしかたありません。なにしろ相手が西条くん。
夕子ちゃんは、病院のロビーにいたので、ここにはいません。
「いやいや、違います。夕子ちゃんAカップだし」。
「ほっとけ!」
「俺はAカップでもいいけどな」。と、孝昭くん。
「おれもー」「ぼくもー」「おいらもー」「わがはいもー」
「夕子・・・つれて来るんじゃなかった・・・」。
反省するグレート井上くん。僕に言わせれば、あまりに見えていた成り行きだと思うのですが。
「そうじゃなく。もう若いピチピチした女の子がいっぱいなんだから」。
なにかある・・・。すでに疑いでいっぱいの僕たち。
「はい!お前ら、海パンは持って来ましたね?」
「ああ」。
「では本日の企画を発表しまぁーす。お前らわぁ。これからこの子をつれて市民プールへ行っていただきまーす」。
となりに昨日の「恋人」ミカちゃん(6歳実名)を呼びました。
「な、なんだって!?」
ミカちゃんは、さすがに大人数を目の前に、少しおどおどしていました。
無理もありません。さして人相もよくない男20人。
「え?女の子ひとりつれていくのに、わざわざ20人も集めたのか?お前」。
「いや。そうじゃないんだけどさ。とりあえずは午前中、この子をプールにつれてってくれ」。
「つまり、午前中ミカちゃんと遊べと?」
「そーいうこと。こいつ、毎日病院なんだ。夏休みの思い出、いっこもないんだよ」。
「このままだと絵日記。書けないんだ・・・」。
言葉をなくす僕たち。
「わかった。それで夕子も呼んだのか?」。グレート井上くん。
「うん。着替えとかもあるからな。ワルサするだろ?お前らだけだと」。
てめーといっしょにするなっ!
ミカちゃん。
「えっと・・・・。サイジョーのケライのみなさん、ヨロシクオネガイシマス」。
「けらい・・・・」。
「西条の・・・・・」。
「けらい・・・」。
さすがに6歳児に反論こそしませんが、みんな唖然としてしまいました。どういう紹介をしているのでしょう?西条くん。
「・・・こちらこそ、よろしくお願いしま〜す・・・」。
あまりのショックにボソボソと答える僕たち。
「けらい・・・・」。
西条くんは僕に100円玉を1コよこすと
「お前、この金で好きなだけ飲み食いしていいからな。そのかわりミカにイチゴミルクのかき氷喰わせてやってくれよ」。
うーん。好きなだけと言われても・・・
イチゴミルク150円はするぞ・・・・・。すでに足りない・・・。
「それからな・・・・」
西条くんは、大きな包みを4つ出すと
「これ。母ちゃんにつくってもらったんだ。お前ら全員分の昼飯」。
「え〜!」
これには驚きました。だって喰い盛り20人です。ほとんど炊き出し。僕たちは、西条くんが思ったよりもずっと本気であることを悟りました。
「ミカ。もしなにか困ったときは、このケライ1号に相談しろよ」。
僕をつかまえて紹介しましたが、
ミカちゃん。
「ヨロシクおねがいします!ケライ1号」
敬称さえついていません。ケライ1号・・・。
「よろしくおねがいします・・・・なんでも相談してネ。この・・・・・ケライ・・1号に・・・」。
このなんとも言えない屈辱感。
そりゃ20人もの名前は覚えられないでしょうが・・・。ケライ1号。
おそらく駐在さんの『自転車1号』にヒントを得たのでしょう。
というわけで、僕たちはむさ苦しい16、7の男20人もつれだって、ミカちゃんを市民プールへつれて行くことに。
「しょうがねぇな・・・。西条のためにひと肌ぬぐか・・・」。
と、孝昭くん。しょうがねぇ、と言う割合に足がスキップスキップしてますけど。
「いっしょにいこ!」
やがて合流した夕子ちゃんが、ミカちゃんの手をひいてくれました。
市民プールは、大人プールと、子供用プールに分かれています。
目的はミカちゃんと遊ぶことですから、当然、全員が子供プールに入ろうとしました。
が、
ピピピピピー
当然監視員からスピーカーで注意される僕たち。
「はい。高校生は小プールに入んないでください」。
仕方がないので、浮き輪のあるミカちゃんを大人プールにつれてきて遊ぶ僕たち。
みんなぶつぶつ言っていた割合には、この時はホント盛り上がりました。
ミカちゃんは、この日までカナヅチでしたが、水泳部である千葉くんが、あっという間に泳げるようにしました。初めて泳げたことに大よろこびのミカちゃん。
グレート井上くんは、次から次に子供の喜ぶ遊びを思いつき、宝探しやら潜水競争といった遊びに、僕たち自身、夢中になりました。
僕は、と言えば、みんなとプールサイドで鬼ごっこをした際、排水溝に足をつまづかせ、おもいっきり転びまして、腹から顔面しこたまうちました。
でも、これにもミカちゃんは大笑い。
まわりからは実に奇妙な集団でしたが、僕たちはカキ氷を食べたり、公園をたずねて虫をとったり、とにかく夏を満喫しました。
やがて午後2時を過ぎたあたりで、遊び疲れたミカちゃんは、村山くんの背中で眠ってしまいました。
夕子ちゃん。
「ミカちゃん、きっといい思い出できたよね」。
「そうだね・・・。楽しかったからなぁ」。
「きっと絵日記、いっぱいだよね!」
実際、僕たちもずいぶんと楽しみました。
病院にもどった僕たちを迎えてくれたのは、ミカちゃんのお母さんでした。
お母さんは、何度も何度も僕たちにお礼を言うと、眠ったままのミカちゃんを受取り、また病室へともどられました。
後日談ですが、ミカちゃんはこの日の絵日記を見せてくれました。
いろんなことをやった1日。
絵日記にはプールサイドが描かれておりまして
”きょう、けらい1ごうがぷーるでころんだ”
一番の思い出ってそれ!?


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5章-第17話へつづく
「慣れねーこと言うなよ。ばか」。
うーん。人望のないヤツ。
「それでな。本日お前らにお集りいただきましたのはほかでもありません」。
「だから敬語無理して使うな。お前」。
「今日はですねー。お前らに、水着の美女をたっぷり楽しませてやろう、って企画なんですよ。悪くないだろ?」
「はぁ?」
と、僕たち。
「西条、それって夕子のことじゃぁないだろうなぁ?」
グレート井上くん。不安でしかたありません。なにしろ相手が西条くん。
夕子ちゃんは、病院のロビーにいたので、ここにはいません。
「いやいや、違います。夕子ちゃんAカップだし」。
「ほっとけ!」
「俺はAカップでもいいけどな」。と、孝昭くん。
「おれもー」「ぼくもー」「おいらもー」「わがはいもー」
「夕子・・・つれて来るんじゃなかった・・・」。
反省するグレート井上くん。僕に言わせれば、あまりに見えていた成り行きだと思うのですが。
「そうじゃなく。もう若いピチピチした女の子がいっぱいなんだから」。
なにかある・・・。すでに疑いでいっぱいの僕たち。
「はい!お前ら、海パンは持って来ましたね?」
「ああ」。
「では本日の企画を発表しまぁーす。お前らわぁ。これからこの子をつれて市民プールへ行っていただきまーす」。
となりに昨日の「恋人」ミカちゃん(6歳実名)を呼びました。
「な、なんだって!?」
ミカちゃんは、さすがに大人数を目の前に、少しおどおどしていました。
無理もありません。さして人相もよくない男20人。
「え?女の子ひとりつれていくのに、わざわざ20人も集めたのか?お前」。
「いや。そうじゃないんだけどさ。とりあえずは午前中、この子をプールにつれてってくれ」。
「つまり、午前中ミカちゃんと遊べと?」
「そーいうこと。こいつ、毎日病院なんだ。夏休みの思い出、いっこもないんだよ」。
「このままだと絵日記。書けないんだ・・・」。
言葉をなくす僕たち。
「わかった。それで夕子も呼んだのか?」。グレート井上くん。
「うん。着替えとかもあるからな。ワルサするだろ?お前らだけだと」。
てめーといっしょにするなっ!
ミカちゃん。
「えっと・・・・。サイジョーのケライのみなさん、ヨロシクオネガイシマス」。
「けらい・・・・」。
「西条の・・・・・」。
「けらい・・・」。
さすがに6歳児に反論こそしませんが、みんな唖然としてしまいました。どういう紹介をしているのでしょう?西条くん。
「・・・こちらこそ、よろしくお願いしま〜す・・・」。
あまりのショックにボソボソと答える僕たち。
「けらい・・・・」。
西条くんは僕に100円玉を1コよこすと
「お前、この金で好きなだけ飲み食いしていいからな。そのかわりミカにイチゴミルクのかき氷喰わせてやってくれよ」。
うーん。好きなだけと言われても・・・
イチゴミルク150円はするぞ・・・・・。すでに足りない・・・。
「それからな・・・・」
西条くんは、大きな包みを4つ出すと
「これ。母ちゃんにつくってもらったんだ。お前ら全員分の昼飯」。
「え〜!」
これには驚きました。だって喰い盛り20人です。ほとんど炊き出し。僕たちは、西条くんが思ったよりもずっと本気であることを悟りました。
「ミカ。もしなにか困ったときは、このケライ1号に相談しろよ」。
僕をつかまえて紹介しましたが、
ミカちゃん。
「ヨロシクおねがいします!ケライ1号」
敬称さえついていません。ケライ1号・・・。
「よろしくおねがいします・・・・なんでも相談してネ。この・・・・・ケライ・・1号に・・・」。
このなんとも言えない屈辱感。
そりゃ20人もの名前は覚えられないでしょうが・・・。ケライ1号。
おそらく駐在さんの『自転車1号』にヒントを得たのでしょう。
というわけで、僕たちはむさ苦しい16、7の男20人もつれだって、ミカちゃんを市民プールへつれて行くことに。
「しょうがねぇな・・・。西条のためにひと肌ぬぐか・・・」。
と、孝昭くん。しょうがねぇ、と言う割合に足がスキップスキップしてますけど。
「いっしょにいこ!」
やがて合流した夕子ちゃんが、ミカちゃんの手をひいてくれました。
市民プールは、大人プールと、子供用プールに分かれています。
目的はミカちゃんと遊ぶことですから、当然、全員が子供プールに入ろうとしました。
が、
ピピピピピー
当然監視員からスピーカーで注意される僕たち。
「はい。高校生は小プールに入んないでください」。
仕方がないので、浮き輪のあるミカちゃんを大人プールにつれてきて遊ぶ僕たち。
みんなぶつぶつ言っていた割合には、この時はホント盛り上がりました。
ミカちゃんは、この日までカナヅチでしたが、水泳部である千葉くんが、あっという間に泳げるようにしました。初めて泳げたことに大よろこびのミカちゃん。
グレート井上くんは、次から次に子供の喜ぶ遊びを思いつき、宝探しやら潜水競争といった遊びに、僕たち自身、夢中になりました。
僕は、と言えば、みんなとプールサイドで鬼ごっこをした際、排水溝に足をつまづかせ、おもいっきり転びまして、腹から顔面しこたまうちました。
でも、これにもミカちゃんは大笑い。
まわりからは実に奇妙な集団でしたが、僕たちはカキ氷を食べたり、公園をたずねて虫をとったり、とにかく夏を満喫しました。
やがて午後2時を過ぎたあたりで、遊び疲れたミカちゃんは、村山くんの背中で眠ってしまいました。
夕子ちゃん。
「ミカちゃん、きっといい思い出できたよね」。
「そうだね・・・。楽しかったからなぁ」。
「きっと絵日記、いっぱいだよね!」
実際、僕たちもずいぶんと楽しみました。
病院にもどった僕たちを迎えてくれたのは、ミカちゃんのお母さんでした。
お母さんは、何度も何度も僕たちにお礼を言うと、眠ったままのミカちゃんを受取り、また病室へともどられました。
後日談ですが、ミカちゃんはこの日の絵日記を見せてくれました。
いろんなことをやった1日。
絵日記にはプールサイドが描かれておりまして
”きょう、けらい1ごうがぷーるでころんだ”
一番の思い出ってそれ!?


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5章-第17話へつづく







西条くんは、ほんとは優しい人なのですね〜笑
ステキな夏のお話です。
saineiさん、こんにちは!
毎日お読みいただきましてありがとうございます。
特に、昨日の『バス停』をお読みいただいたのには、感無量でございました。
西条くん。やさしかったですね。おそらく僕たちの中では一番に。
その「やさしさ」のせいで、いっぱい失敗をする人でした。
明日。その典型的な話に入ります。
あったかい
いい話ですね。
kekさん、はじめまして!
この話、長いですが、続けてお読みください。
5章、最終話でお待ちしております。
不覚にも(?)涙が出ました・・・。
心温まるお話ですね。
楽しませていただいてます。
>Sahさん
ようこそいらっしゃいました。
このまま続けてどうぞ!
>西条くんは、大きな包みを4つ出すと
「これ。母ちゃんにつくってもらったんだ。お前ら全員分の昼飯」。
復習中です。
なにげないシーンですけど、ここでものすごく泣けてきました。
西条君のお母さん、ごはんつくりながら、すごくうれしかったんじゃないかなぁ、って。
今はもう、西条君がほんとにやさしい人って、みんな知ってるよ。
ミカちゃん、ケライ1号が転んで思い出になっただね〜。
ママチャリくんもたまには役に立つんだねぇ〜。