ぼくたちと駐在さんの700日戦争

 

  
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第22話 ジェミー再び(2)

翌日はお盆。田舎では、これほど身動きのとりにくい日はありません。

しかし、僕たちにはこの日しか準備時間がありませんでした。
準備と言っても、ジェミーの女装用品だけですが・・・。

前回は、演劇部の「召使いの衣装」を調達したのでよかったのですが、今回はなんと「セーラー服」が必要でした。

そしてもうひとつがブラジャー

前回のパンティの苦労がよみがえります。(4章『パンティを探せ』参照)
しかもブラジャー。びっくりするほどに高価!やっぱり価値の高いものは、高価なもので包まれているんですね。
したがって「購入」は、すでに僕たちの選択肢からは消えていました。

「花火の玉ってどれくらいの重さなのかな?」
「西条の話だと、1個1kg~2kgくらいだって言ってた。意外に軽いよな」
「まぁ。空飛ぶもんだからな。あんまり重いと飛ばないだろ?」

「オッパイとどっちが軽いのかなぁ・・・」
「さぁ・・・計ったことないからな・・・」
当然です。オッパイの重さを計った男子高生の話、聴いた事ありません。

「オッパイは空飛ばないだろ?」
「いや・・・。飛ばないだろって・・、お前、花火、もまないだろ?」
「ウーン。花火もオッパイももんだことない・・・」

「もみたい・・・」

馬鹿だろ?お前ら。

「でもな。ときどき女子が話しているのを盗み聞きすると、だな。肩こりするとこまで重いらしいんだ」
「ふんふん」
「肩こりするってことは、だ。1kg、2kgの話じゃないと思うんだ」
「うんうん。いい推理だ」

なーにが「いい推理」なんだか。
おそらく、この広い日本で、オッパイの重さと花火の重さを真面目に検討しているのは、ここだけだったのではないでしょうか?
しかし、僕たちにはこの「オッパイと花火玉の重さ」の比較がとても大切でした。
なぜって、ブラジャーに入れる都合上、ブラジャーが花火の重さに耐えてくれなくては困るわけです。
しかし、自然、僕たちの会話は、オッパイへ、オッパイへと傾向していき、ついには、その形状あたりまで話がおよんでおりました。あー若いってつらい。

こうして会話の8割以上の時間をオッパイに費やしながら、2時間程の時間をかけ「ブラジャーは花火の重さに耐える」ことが決定。

「セーラー服は、孝昭、お前姉ちゃんの借りてこい。もう着ないのとかあるだろ?」

「え~!また?まぁ。今日は本家行ってるからいいけどさ。ばれたら、またお前が欲しがったって言うからなっ!」

「え!」

「今度ばれたらタダじゃすみそうにないぞ」
うーん。タダで済んだ時のほうがもっと問題が大きい気もするけど。

「問題はまたブラジャーか・・・・」

「見えないんだからさぁ。誰かの母ちゃんのでいいじゃん」

「い・や・で・す」
ジェミーです。

「んー。でも、俺も母ちゃんのブラとか盗みたくない」
「俺も」
「僕も」

どうしてなんでしょうねぇ?不思議です。唯一(唯二?)もんだことのあるオッパイなのに。

河野くん。
「いっそ盗むか?もう、花火盗むんだから、ひとつもふたつもおんなじようなもんだ」
お前、それすっかり犯罪者の心理だから。

「だいたい、下着泥棒は、他の泥棒とまたニュアンス違わないか?」
「うーん。確かに」
「でも母ちゃんの盗むくらいなら、クラスの女子の家まわって盗むぜ。俺」
ひょっとして、こうして将来の下着泥棒が誕生しているのかも知れません。

「ん?クラスの女子?」
久保くんがなにか思いついたようです。

それが・・・

僕に向かって言いました。
「お前さぁ、和美から借りろよ。和美ならばっちりEカップだぜ」
和美ちゃんは、となりのクラス(つまり久保くんのクラスなのですが)の女子で、僕とは中学がいっしょのボーイッシュな女の子。

「バ、バカ言え!」

「だってさ。和美、お前にホレてるだろ。お前困ってたじゃん。それで嫌われたら、それはそれでラッキーだろ?」

「で、できるかっ!」

確かに、和美ちゃんがずっと僕に好意をよせているのは、周知の沙汰でした。
悪い子ではないのですが、でも、僕には、当時好きな女の子がいたのです。
いえ。夕子ちゃんではありません。

しかし、対案を編み出せないまま、刻々と時間は過ぎ、結局僕は和美ちゃんに電話をしているのでした。
彼女はボーイッシュであるがゆえに、こうしたことを話しやすいことも確かだったのです。

せまい真夏の公衆電話。後ろに大量のギャラリーを背負ったままでのラブコールです。

「あ・・・あの・・・か、かずみ?」

「あ・・・・」

和美ちゃんの驚きようはたいへんなものでした。

「な・・なにしてた?今」

「うん、おばあちゃんとお墓参りの準備。め、めずらしいね。どうしたの?」

「あ、あのさー。言いにくいんだけど・・・」

「なぁに?」

しかし、どうしても「ブラジャー」という単語が出て来ません。愛の告白でさえ、これほどむずかしいかどうか。
その間もギャラリーたちは、僕をこづいて催促します。

「貸して・・ほしいものがあるんだけどさ・・・」

「え?なぁに?」

「そ、それが・・・ブラ・・・ブラ・・・」

「ブラックジャックの12巻って買った?」
ちがうだろ!
「え?なぁに?それ」

「ごめん。ちがうんだ。言うよ。君のさ・・・」

「うん」

「君の・・・ブラ、ブラジャー、貸してくれない?使わなくなったやつでいいんだけど・・・」

「えっ・・・・・?」

和美ちゃんは無言になりました。そりゃ驚きます。
片思いであれなんであれ、好きな男子が「使い古しのブラジャー貸せ」ですから。こういうコクりをされた女子って他にいるんでしょうか?
僕は電話を切ってその場から逃げたい気持ちでいっぱいでした。

しばらく無言だった和美ちゃん。

「・・・いいよ」
「え?」
「いいよ。必要なんでしょ?」

「え・・・う、うん」

「持って行けばいいの?」

沈んでいる僕と対照的に、まわりではうれしさのあまりマイムマイムしている男4名。

実際僕は、自己嫌悪でつぶれそうでした。こんな気持ちは、それまでで初めてのことでした。


僕は和美ちゃんと、近くの堤防で待ち合わせしました。なにしろブラジャー。人目をはばかります。

やがて、和美ちゃんが自転車に乗ってやってきました。
恥ずかしそうに僕に紙袋を手渡す和美ちゃん。

「これ・・・。洗濯したばっかりだから」

「・・・あ・・・ありがとう・・・」

「へへ・・・ちょっと、柄選ぶのに、時間かかっちゃった」
僕はズキっと胸が痛みました。

「ごめん・・・ヘンなこと頼んで・・・・」

「いいの!また、なにか悪戯に使うんでしょ」

「え?い、いや・・・・。まぁ、そんなとこ・・・」
長い付き合い。彼女は本当によく僕のことを知っていました。

「私ね・・。君のする悪戯も。けっこう好きなんだ・・・なんか、他の人と違うもの」

「・・・・・・・」

「うれしかった。こんなことでも、私をたよってくれたこと!」

「かずみ・・・・・・」

僕はその時、和美ちゃんを抱きしめたい衝動にかられました。
なんと言うか、愛おしくて。
愛おしくて・・・でも。結局それは心の中だけでした。

やがて和美ちゃんは、照れ隠しするように、おもいっきり自転車をこいで走り去りました。

「かずみぃー!」

「なぁにー?」

「あ・・・・ありがとう」

手をふる和美ちゃんを、夕陽が染めていました。
その時僕には、あのボーイッシュだとばかり思っていた和美ちゃんが、ちょっとだけ奇麗に見えました。



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コメント

青春だぁぁぁぁあ。
胸キュンしちゃったです。
2006/08/29(火) 11:29:51 | URL | sainei #-[ 編集]
いいなぁ
うーん。和美ちゃん。ナイスキャラ!

ほろっとさせるのうまいですねー。くろわっさん。
2006/08/29(火) 11:43:11 | URL | Blacky★ #bWYSVujs[ 編集]
Sineiさん & Blackyさん

おふたかたとも毎度ありがとうございます。

そうですねー。青春です。
どっかほろ苦いところがあるんですよね。この時期ってのは。

当時はなにかってーと恋して、なにかってーとポロポロ泣いていました。
2006/08/29(火) 18:36:06 | URL | くろわっ #NB/JWtcg[ 編集]
高校時代を思い出します。
和美ちゃん!!!
わ~なんか、胸がポカッと温かくなるわ。

「君たちの悪戯が好き」
和美ちゃんなりの、告白かなぁ~。なんて。
2007/09/04(火) 02:04:14 | URL | 小鳥枝 #-[ 編集]

和美ちゃん、悩んだろうなぁ。。。
一番のお気に入りを渡したに違いない!!
思わず「私の場合なら・・・?」って考えちゃった・・・

あほ~~~


って、しゅ しゅごい!!
くろわっさんから、お返しのコメントが入ってた!!!

感動i-241
明日への活力になりました!
2007/10/03(水) 19:35:24 | URL | あらべすく #-[ 編集]

まったりとおさらい中。

いいなぁ・・・おっきいとこういう時自信もって渡せて。
あたしなら丁重にお断りさせていただくしか・・・(泣)

改めて読むと。う~ん、ほんとにママチャリくんて優柔不断ですね~。
2008/02/19(火) 10:14:59 | URL | ねぎ #7LgpsTjw[ 編集]

ママチャリ!おまえにはかずみちゃんを抱きしめる義務があったはずだぞ!


・・・・・しかしよく耐えた。
2008/05/11(日) 21:41:24 | URL | ふみ #-[ 編集]

すんんごく気になることが。
マイムマイムを踊る男4人?
孝昭くん、ジェミー、久保、河野、森田の5人がいたのでは?
踊っていなかったのはだぁれ?
2011/06/04(土) 23:36:17 | URL | あたごおるはねこのくに #EVi5mpw2[ 編集]
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