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花火の準備というのは、けっこう大掛かりな仕事です。
このため、相応な人数が右往左往するため、僕たちは、最も人数が少なくなるであろう、昼時を「決行時間」に決めていました。
当時は、現代と違いまして、昼休みは徹底されていました。
田舎では、どこかしかで昼を知らせるサイレンなどが鳴り、それに合わせてみんなが休んだものです。
いい時代でしたねぇ。
花火の準備というのは、けっこう大掛かりな仕事です。
このため、相応な人数が右往左往するため、僕たちは、最も人数が少なくなるであろう、昼時を「決行時間」に決めていました。
当時は、現代と違いまして、昼休みは徹底されていました。
田舎では、どこかしかで昼を知らせるサイレンなどが鳴り、それに合わせてみんなが休んだものです。
いい時代でしたねぇ。
犯罪や悪戯には下見が大切です。僕たちは、確かに窃盗こそしていませんでしたが、かなり近いことは大量にやっておりましたので、下見の重要性をよく知っていました。
「あれが大将だな」。
「ああ。間違いない。あっちの赤いの着てるヤツは弟子かな」。
「商店街の連中はハッピ着てるな。私服はアルバイトってとこか」。
下見では、まず、物のある場所、どの人間がどういう役割でどういう動きをしているか、指示系統はどうなっているのか、これをいちいち口に出して言いながら、全員の認識を同じにします。この「いちいち口に出す」というのがポイント。個人個人が勝手に理解していてはうまくいきません。これから窃盗団をつくろう、と思われているかたは參考にしてください。
「なるほど。西条の言ってた通りだな。これじゃ誰がバイトかわかんないな」。
「まぎれこめるか?」
僕たちは少人数ながら、2つのグループに分かれていました。
いや、ジェミーとルパン・ザ・サーズではなく。私服組と制服組です。
河野くんと久保くんコンビは私服組。彼らは、アルバイトの中に混じって行動します。
制服組は、学校の放送部員と新聞部員を装い、取材と称して行動することになっていました。
はじめに行動を開始したのは、河野くんと久保くんの私服組です。
「僕たち、駐車場の係なんですけどー、こっち手伝えって言われてきたんですけど、なにすればいいですかぁ?」
「おおー。助かった。そっちの設置手伝ってくれー」。
なにしろ何万人も集まる大イベントの準備。もう誰が誰だか区別なんかついていません。
彼らはなんなくアルバイトに扮することに成功しました。
「じゃぁ、こっちも行くか。たぶん、あれが花火屋の大将だ」。
なんともラフな服装で、大声を上げているオヤジがいました。僕たちは、彼の仕事がいちだんらくするのを待ち、行動を開始しました。
「すみませ〜ん」。
「あん?俺かい?」
「ええ。花火屋さんですか?」
「おう!俺っちが煙火屋だが、学生さんがなんの用でぇ?」
「え?えんか?」
「まぁ。花火師のことだーな。で?あんの用だって?」
「ええ。実は、僕たち、高校の新聞部と放送部なんですけど、今度、この花火大会をとりあげることになったんですよー」。
「おー!そらいいこった!」
なんかノリのいいオヤジです。
「で。花火の実況なんかも録音して流すんですけど、花・・えっと、煙火屋さんのインタビューも入れたいなぁ、なんて・・・」。
「ほほぉ」。
「それで、いろいろと花火のことなんかもお教えいただけると助かるんですけど。お時間はとらせませんので・・・」。
「ほーっ!そりゃ若いのにエラいね!こりゃどーも。いいぜ!あんちゃん!なんだって聴いてくれぇ!」
いい出だしです。それにしても勢いあります。このオヤジ。
「うーん。師匠、ちゃきちゃきですねー」。
「ったりめーだー!こちとら江戸っ子よー!煙火屋がとろくっちゃ花火上がんネーってな!」
「すると東京のご出身なんですね?」
「ん。宮城県の出身だ」。
いや・・・それ江戸っ子って言わないから・・・・。なに言い切っちゃってるんでしょう?
このオヤジ、東京都在住であれば江戸っ子と思いこんでいるようです。
「は、はじめに師匠のお写真撮らせていただいていいですかぁ?」
「ん?写真?」
と言うなり、ジェミーを横目で見ました。
「いいぜ!このお姉ちゃんと一緒なら!」
えっ!こ、こいつも「西条の類い」か?
「姉ちゃん、名はなんてーんだい?」
「え・・え・・あの・・ジェ、ジェミ子・・・」
馬鹿!いすずの中古車か?お前。
「いえ。あの、和美って言いま〜す。よろしくお願いしま〜す」。
ブラジャーダイレクトかよ・・・。
それにしてもジェミーの声色。絶品です。女の子としか思えません。孝昭が興奮するわけだ・・・。
「きれーなネェちゃんだなー。うん。俺っちと一緒に写真撮ろ!」
「まぁ!師匠!うれしいワ!」
ノリノリのジェミーとワルノリのオヤジ。なんか、どっかの安キャバレーみたいです。
そしてジェミーとのツーショット。Vサインまでしやがって。
このオヤジ、ジェミーが男だってわかったら、驚くでしょうねぇ。
「それにしても姉ちゃん!」
「はい?」
「乳でけーなー」。
やはり西条の類い・・・。「ちち」って・・・。
でもそりゃそうです。5号玉(直径15cm)想定して詰め物してるんですから。
「じゃぁ、こっから録音しますんでー。いいですか?師匠」。
デンスケのスイッチを入れようとする僕。
「え?ろ、録音するのかい?」
「ええ。もちろん。学校放送ですから」。
当時の人たち、特に年配の方は、録音やマイクに慣れておりませんでした。
どなたでもマイクを向けられると多少なりと緊張したものです。
「う〜ん。録音してもいいが。その”師匠”ってのはよくねーな。呼ばれ慣れてねぇ」。
「そうですか。じゃぁなんてお呼びすればいいですか?」
「んー、そうさなぁ・・・・」
しばらく考え込むオヤジ。なんだっていいと思うのですが。
「総統?」
なに様だよっ!


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5章-第26話へつづく
「あれが大将だな」。
「ああ。間違いない。あっちの赤いの着てるヤツは弟子かな」。
「商店街の連中はハッピ着てるな。私服はアルバイトってとこか」。
下見では、まず、物のある場所、どの人間がどういう役割でどういう動きをしているか、指示系統はどうなっているのか、これをいちいち口に出して言いながら、全員の認識を同じにします。この「いちいち口に出す」というのがポイント。個人個人が勝手に理解していてはうまくいきません。これから窃盗団をつくろう、と思われているかたは參考にしてください。
「なるほど。西条の言ってた通りだな。これじゃ誰がバイトかわかんないな」。
「まぎれこめるか?」
僕たちは少人数ながら、2つのグループに分かれていました。
いや、ジェミーとルパン・ザ・サーズではなく。私服組と制服組です。
河野くんと久保くんコンビは私服組。彼らは、アルバイトの中に混じって行動します。
制服組は、学校の放送部員と新聞部員を装い、取材と称して行動することになっていました。
はじめに行動を開始したのは、河野くんと久保くんの私服組です。
「僕たち、駐車場の係なんですけどー、こっち手伝えって言われてきたんですけど、なにすればいいですかぁ?」
「おおー。助かった。そっちの設置手伝ってくれー」。
なにしろ何万人も集まる大イベントの準備。もう誰が誰だか区別なんかついていません。
彼らはなんなくアルバイトに扮することに成功しました。
「じゃぁ、こっちも行くか。たぶん、あれが花火屋の大将だ」。
なんともラフな服装で、大声を上げているオヤジがいました。僕たちは、彼の仕事がいちだんらくするのを待ち、行動を開始しました。
「すみませ〜ん」。
「あん?俺かい?」
「ええ。花火屋さんですか?」
「おう!俺っちが煙火屋だが、学生さんがなんの用でぇ?」
「え?えんか?」
「まぁ。花火師のことだーな。で?あんの用だって?」
「ええ。実は、僕たち、高校の新聞部と放送部なんですけど、今度、この花火大会をとりあげることになったんですよー」。
「おー!そらいいこった!」
なんかノリのいいオヤジです。
「で。花火の実況なんかも録音して流すんですけど、花・・えっと、煙火屋さんのインタビューも入れたいなぁ、なんて・・・」。
「ほほぉ」。
「それで、いろいろと花火のことなんかもお教えいただけると助かるんですけど。お時間はとらせませんので・・・」。
「ほーっ!そりゃ若いのにエラいね!こりゃどーも。いいぜ!あんちゃん!なんだって聴いてくれぇ!」
いい出だしです。それにしても勢いあります。このオヤジ。
「うーん。師匠、ちゃきちゃきですねー」。
「ったりめーだー!こちとら江戸っ子よー!煙火屋がとろくっちゃ花火上がんネーってな!」
「すると東京のご出身なんですね?」
「ん。宮城県の出身だ」。
いや・・・それ江戸っ子って言わないから・・・・。なに言い切っちゃってるんでしょう?
このオヤジ、東京都在住であれば江戸っ子と思いこんでいるようです。
「は、はじめに師匠のお写真撮らせていただいていいですかぁ?」
「ん?写真?」
と言うなり、ジェミーを横目で見ました。
「いいぜ!このお姉ちゃんと一緒なら!」
えっ!こ、こいつも「西条の類い」か?
「姉ちゃん、名はなんてーんだい?」
「え・・え・・あの・・ジェ、ジェミ子・・・」
馬鹿!いすずの中古車か?お前。
「いえ。あの、和美って言いま〜す。よろしくお願いしま〜す」。
ブラジャーダイレクトかよ・・・。
それにしてもジェミーの声色。絶品です。女の子としか思えません。孝昭が興奮するわけだ・・・。
「きれーなネェちゃんだなー。うん。俺っちと一緒に写真撮ろ!」
「まぁ!師匠!うれしいワ!」
ノリノリのジェミーとワルノリのオヤジ。なんか、どっかの安キャバレーみたいです。
そしてジェミーとのツーショット。Vサインまでしやがって。
このオヤジ、ジェミーが男だってわかったら、驚くでしょうねぇ。
「それにしても姉ちゃん!」
「はい?」
「乳でけーなー」。
やはり西条の類い・・・。「ちち」って・・・。
でもそりゃそうです。5号玉(直径15cm)想定して詰め物してるんですから。
「じゃぁ、こっから録音しますんでー。いいですか?師匠」。
デンスケのスイッチを入れようとする僕。
「え?ろ、録音するのかい?」
「ええ。もちろん。学校放送ですから」。
当時の人たち、特に年配の方は、録音やマイクに慣れておりませんでした。
どなたでもマイクを向けられると多少なりと緊張したものです。
「う〜ん。録音してもいいが。その”師匠”ってのはよくねーな。呼ばれ慣れてねぇ」。
「そうですか。じゃぁなんてお呼びすればいいですか?」
「んー、そうさなぁ・・・・」
しばらく考え込むオヤジ。なんだっていいと思うのですが。
「総統?」
なに様だよっ!


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5章-第26話へつづく







このオヤジさんのキャラもなかなか強烈です(笑
んーっ楽しみ。。。
おはようございます。seineiさん。
この花火屋のオヤジさんは、この話のキーマンなので、デフォルメはしておりますが、けっこう正確に描写しています。こういうかたでした。
「ちちでけーな」は、実際におっしゃられた台詞です。
いやぁー。まさかブログでこんな傑作小説を読めるとは。
驚きましたー。
ランキングだんとつ1位がうなづけます。
というか、ブログの小説ってなんか自己満足的なものばっかりですけど、ここだけは違いますね。脱帽。
これこのまんま映画化できるのでは?
応援ポチ!
ようこそおいでくださいました。
あんまり他読んでいませんが、ここは簡単な言葉でつづれるからいいですね。
小説とかいうと、一所懸命言葉さがししちゃって、それが逆に読みづらいってこと、けっこうあります。
ここは逆ですから(笑)。
なるべく稚拙(?)な言葉で書くようこころがけてました。
映画化ですか?
いままでもそう言うコメントいただきましたが、うれしいですねー。そう言っていただけるだけで!
すごい単語です。
総統=双頭の鷲(オッパイの右左の比喩ってコトで。)というタイトルにしようか迷いましたが、インパクト度で、『ブラジャーダイレクト』に軍配が上がりました。
アバウトさは、江戸っ子ぽいと思いますよ。総統。
〜復習中〜
来年の映画公開が、ほんと、楽しみです。
花火師さん=竹中直人さんっていうのを見ただけでも、絶対におもしろいのがわかります!!